Photo by cinemacafe.net

写真拡大

ベルギーのアカデミー賞「マグリット映画賞2016」で3冠を獲得するなど、アツい支持を集めているファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督の最新作『地獄愛』。
デビュー作『変態村』で世界を騒然とさせたヴェルツ監督による「ベルギーの闇3部作」、その2作目に当たる本作は、『ハネムーン・キラーズ』(米/’70)の題材にもなった実在の殺人鬼カップルをモデルに、出会い系サイトで知り合った結婚詐欺師・ミシェルとシングルマザー・グロリアの狂気的な恋愛模様を映し出す。女の嫉妬が渦巻く、共感必至(!?)のラブストーリーだ。本作では、主人公グロリアが嫉妬ゆえの猟奇的殺人に至るまで、運命の男と深く愛し合う姿がエモーショナルに描き出されているが、実は今年は、ヒロインが劇中で“本当の私”を覚醒させる映画が目白押し。狂気の中にも女としての本気が垣間見える3作に注目した。

●“最強の殺し屋”に覚醒…『バッド・バディ!私とカレの暗殺デート』(公開中)

『バッド・バディ!私と彼の暗殺デート』 (C)2016 Right Productions, LLC
伝説のヒットマンの彼氏と出会ったことをきっかけに、自分の中の“最強の殺し屋”の素質に目覚める女性を描く。ダメ男ばかりに惹かれてしまう主人公マーサ(アナ・ケンドリック)が瞬時に恋に落ちた相手は、依頼主を殺してしまうという少し変わったくせを持つ殺し屋(サム・ロックウェル)。彼に腕試しされた彼女は、いきなり投げつけられたナイフを全てキャッチするという隠された特技を披露。その本能は彼を思えば思うほど、グングン覚醒し、敵のアジトに拘束されても、自分の身を自分で守り生還を果たす。その姿は、ユーモアの中にどこか狂気も感じるほど頼もしく、“本当の私デビュー”に成功している。

●レイプ犯に迫る危険な女に覚醒…『エル ELLE』(8月公開)

『エル ELLE』(C) 2015 SBS PRODUCTIONS - SBS FILMS - TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION - FRANCE 2 CINEMA - ENTRE CHIEN ET LOUP
フランスの至宝イザベル・ユペールが、自分を襲った犯人の正体を突き止めようと周囲の男たちを追及していく内に、自分自身に潜んでいた欲求がむき出しになっていく女性ミシェルを怪演。自分のペースを崩さず日常生活を送ろうとするも、襲われた記憶がフラッシュバックするミシェル。自分をもてあそんだ犯人の正体を自ら突き止めるべく、隣人や同僚など周囲に探りを入れていくが、その行動はどんどんエスカレートしていく。主人公の真の姿が目覚めていくその衝撃に、第69回カンヌ国際映画祭では7分間にわたるスタンディングオベーションが巻き起こり、ユペールはオスカーにも初ノミネートされた。

●愛と嫉妬に翻弄され狂気を覚醒…『地獄愛』(7月1日公開)

『地獄愛』(C)Panique / Radar Films / Savage Film / Versus Production / One Eyed - 2014
娘のためにも再婚をと、出会い系サイトで出会った男と一夜を共にし、ドップリと恋の沼に堕ちた主人公グロリア。しかし、その男は百戦錬磨の結婚詐欺師だった。そんな稼業も全てを受け入れると誓い、男と共に詐欺を重ねていく彼女だったが、ある日、自らの嫉妬心を制御できず結婚詐欺のターゲットを殺めてしまう事態に。それからというもの、嫉妬心と彼を愛する気持ちに火がつくと、彼女の暴走は止まらなくなる。愛と嫉妬に翻弄され、みるみる内にその狂気を曝け出していく…。

いつもは穏やかなシングルマザーが、己の正義を振りかざし愛のために覚醒していく姿が鮮烈に映し出された本作。ヴェルツ監督が「普通の人間が世間から孤立していくステップを、良心の呵責なども踏まえてリアルに描こうと思った」と語るように、一歩間違えれば明日は我が身か!? と思わず背筋が凍る、愛の奈落に落ちた2人のラブストーリーとなっている。

(text:cinemacafe.net)

■関連作品:
バッド・バディ! 私とカレの暗殺デート 2017年5月13日より新宿シネマカリテほか全国にて公開
(C) 2016 Right Productions, LLC

■関連記事:
実在の“殺人鬼カップル”を描く問題作!『地獄愛』予告編到着
アナ・ケンドリックの危険なデート映像公開!銃弾かわす彼にウットリ!?
【予告編】イザベル・ユペール主演『ELLE』、刺激的でアブノーマルなWEB限定版解禁
イザベル・ユペール、『ELLE』巨匠監督と来日決定!フランス映画祭に登壇
イザベル・ユペール「日本の観客に必ず響く」 映画『アスファルト』コメント映像公開