「みをつくし料理帖」4話。ほのぼの飯テロ時代劇だと思ってたら、凄い話になってきた

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高田郁のベストセラーが原作の土曜時代ドラマ『みをつくし料理帖』。土曜のNHKは『みをつくし料理帖』と『ブシメシ!』という飯テロ時代劇2連発だ。しかし、両方ともほっこりした人情料理ドラマだと思ったら大間違い。『みをつくし料理帖』は先週放送の第4話「ほろにが蕗(ふき)ご飯」から激しく展開しはじめた。なんと「つる家」が燃えてしまったのだ!


視聴者を安心させる優しい大人たち


澪(黒木華)が考え出した料理を次々と真似する江戸一番の名店「登龍楼」。ついに、澪が店に出す前の料理まで真似するようになった。澪は「つる家」で働くようになった少女・ふき(蒔田彩珠)に疑念を抱く。

「登龍楼」の卑劣なたくらみ。それは、ふきに「つる家」の台所をスパイさせることだった。両親を亡くし、幼い弟とともに「登龍楼」に引き取られたふきは言いなりになるしかなかったのだ。なにせまだ13歳、無理もない。事実を知った上でご寮さん(安田成美)は澪に語りかける。

「ふきちゃんを問い詰めたかて、何にもなれへん。それよりもふきちゃんに、何をしてやれるかや」

それにしてもこのドラマ、種市(小日向文世)やご寮さん、手伝いをしてくれるおりょう(麻生祐未)など、澪のまわりにいる大人たちが本当に優しい。彼らの優しさがあるから、我々も安心して見ていられる。澪もふきもおりょうが育てている太一も全員が両親を亡くした孤児。そういう子どものまわりには、彼らのような優しい大人たちにいてもらいたい。

澪が作った蕗ご飯を食べながら、「蕗はもともと力のある野菜だからなぁ」とふきを励ますシーンはほのぼのと良い場面だった。ちょっと涙腺がゆるんじまったぜ。いけねえよぉ。

江戸の暗黒卿、采女宗馬


しかし、世界は優しい人ばかりではない。ハードな現実もある。その代表選手が「登龍楼」の店主、采女宗馬(うねめ・そうま/松尾スズキ)と料理長の末松(毎熊克哉)だ。同じ藤本有紀脚本のドラマ『ちかえもん』に主演していた松尾だが、ここではダースベイダー並みに強烈な存在感を放つ冷酷な悪役に扮している。毎熊のジャックナイフのような容貌と暗く燃える目も強い印象を残す。

スパイの仕事を断りに来たふきに容赦なく手をあげる末松、澪の前で末松を殴り倒してクビを言い渡す采女、形だけは謝るが実は謝る気が1ミリもない采女、幼い姉弟を冷酷に突き放す采女、外で控える末松に無言で大金を渡す采女、そして……。

謎の男たちが「つる家」に火を放つ。おそらく采女の差し金だ。種市にとっては亡き娘の名前を持つ大切な店であり、澪にとっては心の拠りどころだった店が燃え落ちてしまった……。自分のビジネスを第一に考える冷酷な人間は、平気で他人の心を踏みにじる。いや、他人が大切にしているものに思いが及ばないのかもしれない。これは現代でも同じである。

澪を助けにやってきた男三匹


大切な店を失って呆然自失の種市、そして自責の念にかられて料理の道を諦めようとする澪。ここで力になるのが、澪の周囲にいた男たちだ。

町医者の永田源斉(永山絢斗)は気落ちする澪を言葉で励ます。吉原・翁屋の料理番、又次(萩原聖人)はあさひ太夫(成海璃子)からの大切な伝言を澪に伝える。そして謎の侍、小松原(森山未來)は謎の男たちを叩きのめし、「これ以上、つる家にかまうな」と告げる。うーん、三者三様のカッコ良さがあるなぁ。そして、澪が作る蕗ご飯のお弁当はとても美味しそうだった。

過酷な運命を背負った澪が前を向いて生きていけるのは、まわりの人たちの助けがあってこそ。逆に言えば、まわりの人たちを大切にして生きていけば、いつかきっと助けてもらえるときが来る。弱いものたちが支え合って生きていけるのが、人間という種の強みなのだ。……って、話が大きくなりすぎた。

本日放送の第5話「ひとくち宝珠(ほうじゅ)」は、「雲外蒼天」の澪と「旭日昇天」のあさひ太夫ーー生き別れの幼なじみ、野江、2人の運命が交差する。「土圭(時計)の間の小野寺」と言っていた小松原の正体も明らかになる……? 乞うご期待!

(大山くまお)