けものフレンズとMONDO GROSSOの意外な共通点? 才能開花させる“プラットホーム”に

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【参考:2017年6月5日〜6月11日のCDアルバム週間ランキング(2017年6月19日付)(ORICON STYLE)】(http://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2017-06-19/)

 なんと14年ぶりのオリジナル・アルバムとなるMONDO GROSSOの新作『何度でも新しく生まれる』が8位に初登場。6,267枚のセールスなのでヒットと言えるかどうかは微妙ですが、14年のブランクで、この内容はさすが大沢伸一! そんなふうに唸ってしまう最高の音楽が届いたことを、まずは素直に喜びたいと思います。

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 近年はテクノ/ハウス/エレクトロ系のDJとして活躍することが多かった大沢伸一ですが、新作『何度でも新しく生まれる』は全曲が日本語詞の歌ものアルバム。どこか懐かしく淋しげなメロディは90年代のMONDO GROSSOを知らない世代にも、というかすべての日本人にじんわり染みるものでしょう。

 12inchアナログで先行発売された「ラビリンス」のボーカリストが満島ひかりであることは大きな話題を呼びましたが、そのほか相対性理論などで活動するやくしまるえつこ、乃木坂46の齋藤飛鳥、さらには「たまたまネットで知った普通の主婦」下重かおりなど、人選の面白さも本作の特徴のひとつ。もともと大沢が各方面に目を光らせていたわけではなく、スタッフから飛び出してくるアイデアを受け身で取り入れていった結果だそうですが、素材さえ良ければプロでも女優でも素人でもOKというのは非常に今の時代っぽい話。90年代の渋谷系やアシッドジャズが再評価されている今だから乗っかった……そんな俗な匂いがまったくないところも素敵です。

 そして今週のツートップはTVアニメ『けものフレンズ』(テレビ東京系)から飛び出した2作品が抑えました。1位はドラマ&キャラクターソングアルバム、2位がJポップからアイドルソング、ゲーム音楽までを幅広く手がける作曲家・立山秋航名義のオリジナル・サウンドトラックです。

 『けものフレンズ』は萌え擬人化された野生動物たちが集まる架空の動物園を舞台とするメディアミックス・プロジェクト。正直私にとってはまったくわからないジャンルなのですが、主題歌「ようこそジャパリパークへ」が強烈な名曲だということはよくわかります。作詞作曲は大石昌良。スリーピースバンドSound Scheduleのシンガー兼ギタリストですが、シンプルなバンドのイメージとまったく違うこの曲は、もうどこを取ってもキラッキラでウキウキ、かといって軽佻浮薄すぎず、ブラックミュージックや50〜60sのアメリカン・ポップス、さらにロックなどのルーツが見事に混ざりあった仕上がりです。清 竜人25のシングルでもおかしくないといえばクオリティの高さは伝わるでしょう。

 この曲のファンを公言するのは星野源や平井堅で、星野に至っては「一日60回くらいは聴きました」と興奮気味にラジオで話していたとか。今までのアニソンはあくまでアニソンファンのもの、アニソンファンだけが熱狂的に買いポップスのファンに届かないものが多かったわけですが、1位で27,000枚、2位で25,000枚近いセールスを叩き出した今回のチャートを見れば、動いたのはアニソンファンだけではないことがわかります。

 MONDO GROSSOが「魅力的な声」のプラットホームとして機能しているように、アニソンが才能あるミュージシャンのプラットホームとして機能している。あるいは、アニソンを手がけることで新たな才能を開花させるミュージシャンが増える。そんな新風を感じる今週でした。(石井恵梨子)