アメリカ演劇界最大の祭典、トニー賞授賞式が6月11日に開催された。第71回を迎える今年は俳優のケヴィン・スペイシーが司会を務め、自身のゲイ疑惑をネタにするなど、授賞式を大変盛り上げた。今回は受賞作品の中から、特に注目の2作品をご紹介しよう。

■リバイバル・ミュージカル作品賞「ハロー・ドーリー!」
ソーントン・ワイルダー原作「結婚仲買人」を元に、世話好きな未亡人のドーリー夫人が、妻を亡くした工場主ホラスの再婚相手を探してあげるうちに彼のことを好きになってしまうストーリー。中年男女の恋愛模様がコミカルに描かれる1964年初演のクラシック・ミュージカルで、これまで2回リバイバル上演され、1969年にはバーブラ・ストライサンド主演で映画化もされた名作である。この度の上演では4度のトニー賞に輝くジュリー・ザックスが演出、ブロードウェイに復帰することでも注目された。4月に上演開始されるや、セレブたちが観劇する様子をSNSに取り上げ話題になった。リバイバル・ミュージカル作品賞のほか、ベット・ミドラーがミュージカル主演女優賞を受賞するなど、4部門で受賞した。

■ミュージカル作品賞他6部門受賞「ディア・エヴァン・ハンセン」
映画『ラ・ラ・ランド』でアカデミー歌曲賞を獲得したベンジ・パセック&ジャスティン・ポールのコンビと、昨年トニー賞を総なめしてセンセーションを巻き起こした「ハミルトン」のアレックス・ラカモアがタッグを組み、音楽を担当した話題作。コミュニケーションに問題があり友人のいない高校生が、同級生の自殺を機に誤解が元で突然周囲の注目を浴びることとなり、葛藤するストーリー。SNSなど現代の高校生の問題も描かれている。初演はワシントン。その後オフ・ブロードウェイで上演されると、高評価を受け、特に主演ベン・プラットの演技力、ミュージカルナンバーの歌詞、脚本は批評家から賞賛された。トニー賞では9部門でノミネートされ、ミュージカル作品賞、ベン・プラットのミュージカル主演男優賞、楽曲賞を含む6部門を受賞した。

今年も魅力的な作品がノミネートされたトニー賞。来年はまた、どんな素晴らしい作品が生まれるのだろうか、非常に楽しみである。

ミュージカル主演女優賞を受賞したベット・ミドラー (c)ImageCollect