写真:アフロ

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 相続税の軽減を目的としたアパートの建設が止まりません。特に地方の場合、入居者がいないにもかかわらずアパートが乱立する状況となっており、このままではバブルが崩壊すると懸念する声も出ています。

アパートローンの残高は22兆4000億円

 日銀によると2017年3月末時点における、貸家業向けの融資(いわゆるアパートローン)の残高は22兆4000億円に達しており、5年間で1.8兆円も増加しました。背景となっているのは、相続税対策と量的緩和策に伴う低金利です。

 現在の相続税のルールでは、空き地として相続するよりも、アパートを建設した方が圧倒的に相続税が安くなる仕組みになっています。2015年から相続税の非課税枠が引き下げられたことから(事実上の増税)、節税を優先し、確実に入居者が見込めないにもかかわらずアパートを建設する土地所有者が増えているのです。

背景に日銀の量的緩和策による金利の低下

 しかし、いくら節税したいと思っても、アパートを建設するためには多額の費用がかかります。よほど現金が余っている人を除けば、融資が提供されない限りアパートは作れません。

 この状況を大きく変えるきっかけとなったのが、日銀の量的緩和策による金利の低下です。銀行の貸し出し金利は軒並み低下し、各行は、少しでも高い金利が狙えるアパートローンに注力し始めたのです。この傾向は特に地方で顕著といわれています。

地方は人口減少、なのに賃貸住宅は余剰に

 メガバンクには大手企業という優良な貸出先がありますが、地方にはこうした企業はほとんどありません。低金利で収益源が限られる中、地方銀行はアパートローンに依存せざるを得ない状況となっています。

 2015年における地方銀行のアパートローンの比率は全体の約10%、信用金庫では16%に達しており、この比率はさらに上昇していると考えられます。地方は人口減少が激しいですから、今後、大量の賃貸住宅が余剰となる可能性が高くなっています。今は新築アパートとして入居者を確保できていても、10年後も同様に確保し続けられるかどうかは分かりません。

 自己資金が少ない状況で融資を受けている場合、入居者が決まらなければ返済が滞るケースが出てくるでしょう。そうなると、地方銀行や信用金庫の経営が悪化する可能性もあるわけです。

 こうした事態を受けて、金融庁はアパートローンの実態について調査に乗り出しており、銀行側も過剰融資はやりにくい雰囲気となっています。しかし地方の金融機関にとっては他に貸す先がないというのも事実であり、そう簡単に融資が減少するとも思えません。地方経済は少しスパンの長いリスクを抱えてしまったかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)