情報交換をしていたSNSのグループに突如このような通知が……

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 上海で住宅規制に反対するデモが起き、日本でも報じられた。(参照:「毎日新聞」)

 そして今、このデモに参加した人々のSNSに恐ろしいメッセージが届き始めているという。

 このデモを企画していたSNSのグループが「提示定小该群因涉及违反相关条例,已被永久封停不能使用(このグループは規則違反のため永久的に閉鎖されます)」というメッセージとともにアクセス不能になり、参加者のもとに公安当局から電話が掛かってきたのである。

 中国在住の日本人駐在員であるMさんは語る。

「中国ではそもそもすべての不動産売買は、定期借地権の売買であり、土地は国家のものというのが前提としてあります。そのうえで、土地使用についても住宅用や商業用などと細かに別れており、それぞれによって借地権の期限が異なるんです。住宅用はその期限が70年と長いのが特長で、さらに大きなメリットとして、中国の都市でさまざまな社会保障を受けられる『戸籍』を取得できるという点があるため、私が住む上海などは非常に貴重でプレミアム的なものだったんです」

 実は中国では戸籍は日本と違い簡単に移動ができない。もしその土地の出身者以外が戸籍を登録しようとしたら、その土地の戸籍所有者と結婚したり、中国政府が運営する市民スコア(市民の学歴、勤続年数、社会保障費の納付期間、職業、所得税の納付額、貢献度などによってポイントが加算され、それによって市民の社会的信用度を評価するというシステム)を120ポイント以上にしたり、その土地の住宅区分地にある家を買うなどしないとその都市の戸籍を得ることはできないのだ。

 そして、このことが上海における住居の高騰の一因となっているのである。」

「ただでさえ、住宅用の土地は政府によって供給が制限されているわけで、その上に、人気都市である上海の戸籍がついてくるわけで、上海の住宅は非常に価値の高いものになり、ここ数年バブルの様相を呈し、もはや普通のホワイトカラーでは買えないほど高価格になっていました」

 そこに登場したのが、今回規制の対象になった「酒店式公寓(ホテル式アパートメント)」だ。

◆突然の政府の方針転換で追い出される住民

「そんな、加熱する住宅ニーズを逃さず利益を得るために、デベロッパーと中国の地方政府が結託して『商業用の土地の建物だけど、住居同様に住める』ことを売りにする商品が登場しました。これが、『酒店式公寓(ホテル式アパートメント)』です。もちろん、戸籍登録はできなかったり、譲渡時の税金が高いなどの問題はありますが、資金が少ない層やその土地の生まれでない人にとっては、ステップアップまでの住居として人気の商品となったんです。ブームになったら中央政府までもが『商改住』と言い出して、商業用途のビルでも住居用として転用可能だと言い出しました。いわば、『お墨付き』を与えたようなものです」

 こうなると、この「酒店式公寓」も価格が上昇し、今度は投機対象で購入する人も増え、皮肉にもこちらも価格高騰するという結果になってしまった。

 そうした投機目的への取り締まりの意味もあったのか、今年に入ってから、風向きが変わってきた。

「今年の2月に、上海の闵行区(ミンハン区)のある酒店式公寓で、区が商住両用房は違法であるという指導を行い、内装工事を停止し、上下水道、ガス管、トイレ、キッチン、メゾネット部分を全て撤去しオフィス用途へ現状復帰しますと一方的な通知がなされたんです」

 この闵行区(ミンハン区)の一件を皮切りに、状況は一変したという。

 区行政の内部関係者からこの「酒店式公寓(ホテル式アパートメント)」の規制と取り壊しを展開する方針であるという議事録が流出し、その後公式に「酒店式公寓(ホテル式アパートメント)」が違法であるとアナウンスされたのである。