中国のタイ王国ソンクラー総領事館はこのほど、タイ南部のプーケット、クラビー、サムイを訪れる中国人客が急増したことに伴い、水の事故が多発するようになったと注意を呼び掛けた。写真はクラビー。

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中国のタイ王国ソンクラー総領事館はこのほど、タイ南部のプーケット、クラビー、サムイを訪れる中国人客が急増したことに伴い、水の事故が多発するようになったとして注意を呼び掛けた。遊泳禁止の標識や監視員の警告を無視するなどで、1−5月に中国人30人が死亡しているという。

総領事館によると、6月12日から13日にかけても監視員の警告を無視して中国人客が海で泳ぎ、大波に巻き込まれた。18歳の男性1人が死亡し、女性4人が病院で治療を受けたという。総領事館は、タイ南部は雨期に入ったため、一層の注意が必要だとして、特に重要な注意点を列記した。

まず、シュノーケリング中の事故による死亡率は遊泳中の事故の死亡率の数十倍に上るとして、系統的な訓練を受けていない人はシュノーケリングを行わないよう求めた。2017年になってプーケットではシュノーケリングをしていた中国人の死亡事故が毎月発生しているという。総領事館によれば、大学に合格した若者が死亡する事故も毎年発生している。

中国では欧米などと同様に秋に新学年が始まるので、入学試験は6月。大学入試合格の祝いを兼ねてタイ旅行を楽しむ若者が水の事故の悲劇に見舞われる例があるとした。

総領事館はさらに、プーケット、クラビー、サムイの海は複雑で、海水浴には危険が伴うと指摘。水の遊びを楽しむ際には救命衣の着用が必要で、警告のための赤色の旗がある場合に海に入るのは厳禁と、注意を促した。

さらに、外国旅行を楽しむ際に最も大切なのは安全であると改めて指摘。タイの気象部門は5月16日、プーケット、クラビー、サムイは雨期に入ったと宣言しており、天候が変わりやすく、海上の風が強いため大波が発生しやすい状況だと紹介した。総領事館は、タイを旅行する自国民に対して「命を大切にし、自然を恐れることで、旅行の安全を確保していただきたい」と呼びかけた。

総領事館はその他にも、旅行客が海岸にごみを捨てたり、海洋生物を捕獲して食べたり、サンゴを採取したり踏みつけるなどの行為で、海の生態を破壊しないよう求めた。

海水浴に直接関係すること以外にも、タイ南部の道路事情は良好でないとして、車の運転にも注意する必要があり、飲酒運転やスピード違反をしないこと、タイの免許証あるいは国際免許証を持っていない人は自動車の運転をしないよう注意喚起している。

◆解説◆
日本でも中国人客のマナーやルール違反の問題が発生しているが、旅行者数の多さに比べれば発生件数は多くないと考えてよいだろう。しかしタイでは、ソンクラー総領事館の注意喚起の詳細さを見ても中国人客による問題が多発していると理解することができる。

中国人は長い歴史を通しての「儒教感覚」の影響からか、「上下感覚」が強い傾向がある。相手が「自分より下」とみなせば大いに見下し、正当な要求に対しても服従する必要はないと考えがちだ。

中国政府は国際戦略上、アジアやアフリカの低開発国は「立場を共にする」と強調して、多くの援助も行ってきた。しかし相手国現地では中国人に対する感情が良好でない場合が多い。現地住民を見下すことが原因のトラブルがしばしば発生している。

中国人は歴史問題を理由として日本や日本人に反感を持つことがある一方、アジアの国としていち早く近代化に成功し先進国の仲間入りした点で「わが国より上」と認めている。一方で、東南アジア諸国などに対しては「わが国の方が上」との意識を持つことが一般的だ。タイの海水浴場で監視員の警告を無視することが多い背景には、中国人の「対外意識」が関係している可能性がある。(翻訳・編集/如月隼人)