(写真提供=SPORTS KOREA)

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韓国サッカー界に衝撃が走っている。

全北現代(チョンブク・ヒュンダイ)モータースの元スカウトマンがこの世を去った。

6月16日の午前7時54分、全北現代のホームスタジアムである全州ワールドカップ競技場の観客席で元スカウトの遺体をチーム関係者が発見した。

遺書は見つかっていないが、発見されたときは首に縄がかかっていたとされており、韓国メディアは自殺の可能性が高いと見ている。

元スカウトに何があったのか

この元スカウトは、審判を買収したとして韓国サッカー界に波紋を呼んだ人物だった。

元スカウトが関与した全北現代の審判買収疑惑が飛び出したのは昨年5月24日だった。

2013年にKリーグ審判2人に対して、数回にわたって全北現代に有利な判定をするよう要請し、総額500万ウォン(約50万円)を渡したとされ、元スカウトは懲役6カ月、執行猶予2年の有罪判決を受けた。

Kリーグから全北現代に下された処分は、勝ち点9の減点と罰金1億ウォン(約1000万円)。

また、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)の出場権も剥奪された。

全北現代は前年にはACLでも優勝し、2016年にはKリーグ3連覇を目指して独走態勢を続けていたが、この処分を受け、その夢も断たれている。

個人に責任を押し付けた全北現代

特筆すべきは、疑惑が浮上した当時、全北現代は責任を元スカウト個人に押し付け、事件をうやむやにしていたことだ。

全北現代が発表した公式見解を一部抜粋しよう。

「記事を通じて、今回の件を知った全北現代は独自調査の結果、言及された“プロサッカーJ球団スカウトC氏”がクラブのスカウトであることを確認しました。また、当該スカウトはクラブに報告なしに個人的に進めたことが確認されました」

「私たち全北現代も予想外の事件に大きな衝撃を受けていますが、真実糾明のための徹底した調査が行われるよう積極的に協力して、二度とこのようなことが発生していないようにいたします」

公式見解の発表当日、クラブ側は元スカウトの職務を停止。

その後、元スカウトはクラブを離れることになった。

「解散しろ、買収殺人球団」

こうした経緯を踏まえたうえで、韓国サッカー関係者はこうコメントしている。

「一度の失敗が取り返しのつかない結果を招くと、元スカウトは大きな責任を感じたようだ」

「生涯サッカーだけしてきた方だったから、サッカー場で人生を終えたかったのではないか」

元スカウトは審判買収事件に責任を感じて自殺したという推測だ。

故人と全北現代に対しては、韓国のサッカーファンからも様々な声が寄せられている。

ネット上には「今からでも故人の悔しさを慰めてあげたい」「元スカウトに鬱憤が溜まっていなければ自殺なんてするだろうか」「一介のスカウトが自腹で数百万ウォンの賄賂?球団じゃなくて一人で?」「解散しろ、買収殺人球団」「確実に何か問題がある。再調査しろ」といったコメントが並んでいる。

いずれにせよ、元スカウトの死によって、再び注目されることとなった全北現代の審判買収騒動。

故人が命を絶った経緯、そして闇に葬られた審判買収の真相について注視していきたい。

(参考記事:【解説】全北現代の審判買収事件とACL出場権剥奪はなぜ起きてきたのか

(文=李 仁守)