中米のパナマが中国と国交を樹立し、台湾と断交した。台湾の蔡英文総統が昨年5月の就任直後にパナマを訪問している。台湾には衝撃が走ったが、蔡総統は「金銭外交には屈しない」などと反発している。

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2017年6月16日、中米のパナマが13日、中国と国交を樹立し、台湾と断交した。台湾の蔡英文総統は昨年5月の就任直後にパナマを訪問しており、台湾では衝撃が走った。「一つの中国」原則を受け入れない民進党の蔡政権に中国はさらに外交攻勢を強める構えだが、蔡総統は「金銭外交には屈しない」などと強く反発している。

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台湾メディアによると、パナマとの外交関係は清朝末期の1910年までさかのぼる。その後、清朝を倒した中華民国が受け継ぎ、蒋介石政権が大陸から追われた後も、最も重要な国交国の一つだった。蔡総統は昨年6月にパナマを訪れ、バレラ大統領らと会談して友好関係を確認していた。

中国国営新華社通信によると、中国の王毅外相とパナマのサインマロ副大統領兼外相は北京で13日、国交樹立に関する共同コミュニケに署名。この中でパナマ側は「世界にはただ一つの中国しかなく、中華人民共和国政府が全中国を代表する唯一の合法的な政府であり、台湾地区は 中国の領土の不可分の一部であることを承認する」として、台湾との即時断交を表明した。

バレラ大統領は中国との国交樹立について「歴史的な一歩。次世代までわが国に利益をもたらす」と指摘。「物流や金融、建設などでも中国との関係が強まる」と、そのメリットを強調した。中国はパナマ運河第2位の利用国で、昨年6月の新運河開通の際も中国船籍の船舶が通航第1号だった。

パナマの“変心”に蔡総統は談話を発表。「われわれは脅迫されても決して妥協、譲歩しない。金銭外交を拒否する態度は変わらず、中華民国が存在する事実、ましてや国際社会での台湾の価値と地位も変わることはない」と主張した。

中国に対しては「北京当局は『一つの中国』原則を振りかざし、国際社会で台湾にたびたび圧力をかけることで台湾の人々の生存権を脅かしてきた」と非難。その上で、「中華民国が主権国家であるのは争いようのないことで、北京当局が永遠に否定できない事実だ」と訴えた。

蔡政権発足時に台湾はパナマなど中南米12カ国、太平洋6カ国、アフリカ3カ国、欧州1カ国(バチカン市国)の計22カ国と外交関係があった。しかし、昨年12月には西アフリカの島国サントメ・プリンシペとも断交に追い込まれており、パナマとの断交で20カ国に減少した。

今回の断交について、台湾の中央通信社は「国の中枢にいた複数の人物から、断交ドミノの可能性は排除できないと懸念する声が上がっている」と報道。副総統として陳水扁政権(2000〜2008年)を支えた呂秀蓮氏が「国際社会に疑われるほど国交国の数が少なくなると、亡国の危機に立たされると警鐘を鳴らした」などと伝えた。中国よりだった国民党の馬英九・前総統は「遺憾だが、予想外のことではない」とコメントしたという。(編集/日向)