近年、大人の社会見学として「工場ツアー」が人気を博しています。メーカー各社も工夫を凝らして、様々な趣向の見学ツアーを用意。なかでも人気なのが、実際に試食や試飲が楽しめる食品メーカーの工場見学です。

 

今回、GetNavi web編集部では、ウイスキー「山崎」ブランドで知られるサントリーの「山崎蒸溜所」で行われたプレス向けツアーに参加し、ウイスキーづくりの現場を見学してきました。知っているようで知らないウイスキーの基礎知識や、バーや飲み屋で語れるウンチクなどが満載の、まさに“大人の社会見学”にふさわしい内容を、ちょっとだけレポートしたいと思います。

 

大阪からも京都からも近い好アクセスな立地

山崎蒸溜所があるのは、大阪府三島郡島本町。大阪と京都の境目に位置しており、最寄のJR山崎駅の住所は京都府となっています。山崎駅へは、大阪から電車で30分弱、京都からは約15分と、交通アクセスが非常によく、関西方面の観光の際に手軽に立ち寄れる点が魅力です(駐車場は用意されていないので、公共交通機関を利用しましょう)。

↑JR山崎駅

 

そのJR山崎駅、もしくは阪急京都線の大山崎駅から徒歩10分ほどの場所に山崎蒸溜所はあります。新緑がまぶしい山のふもとに佇むクラシカルな雰囲気の茶色の建物は、まさに自然に囲まれた蒸溜所というイメージ。この自然のなかで磨かれた水が、おいしいウイスキーの源になっているのでしょう。

 

見学コースは現在3種類が用意されており、うち山崎ウイスキー館を自由に見学できるコースは無料。ただし、いずれも事前の予約が必要となっていますので注意しましょう。

 

ウイスキーの製造工程を廻り、非売品の原酒の試飲もできる「山崎蒸溜所ツアー」は、所要時間は約80分で、参加費は一人1000円と、時間も料金もお手軽なコースとなっています。よりじっくり学びたい人には、匠の技やこだわりも見ることができる「THE STORY OF YAMAZAKI 〜シングルモルトウイスキー山崎誕生の物語〜」(所要時間約100分、参加費2000円/人)(※)がオススメです。

※:土日祝日のみ

 

ウイスキーについての知識が深まる内容

ツアーは、ウイスキーの製造工程に沿って、原料から仕込、発酵、蒸溜、貯蔵と巡っていきます。なかでも圧巻なのは、“ポットスチル”と呼ばれる蒸溜釜が並んだ蒸溜工程。大きさや形状の異なる蒸溜釜を使い分けることで、多彩な味わいのウイスキー原酒をつくりだしていますが、こういった種類の異なる釜を使っている蒸溜所は、世界的にもあまり例がないそう。ウイスキーの本場、スコットランドなどには数多くの蒸溜所が存在しており、原酒の売買も盛んなため、ひとつの蒸溜所が複数の原酒をつくり分ける必要があまりないことが理由だそうです。

↑ズラッと並んだ蒸溜釜。反対側にも再蒸溜釜が並んでいます

 

2回の蒸溜によりアルコールが凝縮され度数が高められた原酒は、木製の樽に入れられ長い年月をかけて熟成されます。この熟成こそが、ビールや焼酎にはないウイスキーならではの独特の香りや風味を左右する重要な工程です。

 

ウイスキーの色や香りは、この木製樽の内側の成分が溶け出すことにより生み出されるもの。そのため、どのような木材の樽に貯蔵するかが、ウイスキーの味を決める上で大きなポイントとなるのです。山崎蒸溜所では「バーレル」「シェリーバット」「ミズナラ」など5種類の樽を主に使い分けているそう。また、定番のホワイトオーク材のほかにも、いろいろな木材を使って新たな樽の開発にも取り組んでいます。

↑大きさや材質の異なる5種類の樽を使いわけています

 

↑製造工程や樽の違いにより、多種多様な個性を持った原酒が作りだされます

 

熟成中の樽がずらりと並んだ山崎蒸溜所の貯蔵庫は、室内の温度の調節をしておらず、季節の変化に合わせて温度が変化します。長いものによっては数十年熟成されるものもあるそう。

 

このような工程を経て出来上がった原酒をブレンドして、サントリーのウイスキーが出来上がります。

 

見学後にはお楽しみの試飲も

ひと通り製造工程を見学したあとは、いよいよ待ちに待った試飲の時間。その前に、山崎蒸溜所の歴史やウイスキーについてさらに詳しい説明を受けました。

 

この山崎蒸溜所は、日本最古のモルトウイスキー蒸溜所として1923年に着工。いまも一部の建物は当時のまま利用されています。

 

2010年より山崎蒸溜所の第20代工場長に就任した藤井敬久(ふじいたかひさ)さんは、なんと32年もこの蒸溜所に勤務。山崎蒸溜所のすべてを知り尽くした大ベテランです。

↑藤井敬久工場長

 

藤井工場長によれば、この山崎という場所は「桂川」「宇治川」「木津川」の3つの川が合流し、水が豊富で多湿な環境がウイスキーづくりにピッタリなのだそうです。近くの水無瀬神宮に湧く「離宮の水」は、大阪府で唯一、全国「名水百選」にも選ばれるほど。あの千利休もここに庵を建てて、茶会を行ったそうです。

 

蒸溜所の内部案内やウイスキーの解説をして頂いたサントリーの佐々木太一さんは、全日本代表にも選出されたこともある元バレーボール選手。引退後、同社の営業部に所属しながら、ウイスキーの勉強を行い、2011年には全国で5人しかいない「マスター・オブ・ウイスキー」の資格を初めて取得したというすごい経歴の持ち主です。

↑佐々木太一さん

 

↑佐々木さんは元バレーボール選手

 

その佐々木さんの説明を受けながら、一般販売されていないウイスキー原酒や「山崎」の12年ものおよび18年ものなど、計5種類をテイスティングすることができました(通常の「山崎蒸溜所ツアー」とは内容が異なります)。

 

グラスに注がれたウイスキー原酒の香りを、まずはそのまま嗅いで楽しみます。そのあと、グラスに水を少し加えると、ウイスキーの香りが一気に広がります。

 

ホワイトオーク樽の原酒は、柑橘系の果実のようなフレッシュな香りと白ワインのような淡い色で、飲むと少しピリッとした辛さを感じます。一方、シェリー樽の原酒は、深い琥珀色にチョコやベリー系果実のようなコクのある香り、深みのある苦さが特徴的です。ミズナラ樽の原酒は、香木のようなオリエンタルな香りが素晴らしく、味はとてもまろやか。3種3様の個性が楽しめます。

 

これらの原酒をブレンドした「山崎」は、バランスの取れた香りと味わいですが、シェリー樽原酒がやや多めに使われているとのことで、深みのある仕上がりに。濃いめの味付けのお料理などによく合うとのことでした。

 

また、ウイスキーにはストレートや水割り以外にも様々な飲み方があり、アルコール度数の調整も自由自在。特に近年、若者を中心に人気なのが、ウイスキーをソーダで割ったハイボールです。ウイスキーの国内市場は、1980年代をピークに減少傾向にありましたが、2008年に角ハイボールがヒットしたことから、再び需要増に転じているそう。

 

同社では、このハイボールの作り方として、とにかく氷をたっぷり使ってキュッと冷えた一杯をオススメしています。ポイントは、氷を入れたグラスにウイスキーを注ぎ、軽く混ぜ合わせたあと、再度氷を追加すること。そのあとにソーダを入れれば、しっかり冷えたおいしいハイボールが楽しめます。

 

↑よく冷えたハイボールは極上の味!

 

SNSに上げたくなるフォトジェニックな空間も

このほか、無料コースでも見学できる「山崎ウイスキー館」では、お土産の購入やウイスキーの試飲(有料)が可能。館内には、同社のウイスキーの歴史を知ることができる様々な資料が展示されていますが、どれも思わず写真を撮りたくなるような素晴らしさなので、ぜひ家族や友人と記念撮影してSNSなどにアップしてみてはいかがでしょうか。

↑操業当初の建物を利用した「山崎ウイスキー館」。国の「近代化産業遺産」にも指定されています

 

↑同社のウイスキーの歴史を知ることができる展示コーナー

 

↑写真を撮りたくなるフォトジェニックな場所も多い

 

↑色とりどりの原酒と「響」

 

↑館内には有料のテイスティングカウンターも。中庭に抜けられ、開放感たっぷりの空間でウイスキーを味わえます

 

試飲ができるコースは、20歳未満の参加は不可となっており、大人だけが楽しめる内容となっています。ただし、無料コースはお子さんも参加できますので、家族で出かけて楽しむことも可能です。

 

ウイスキーの歴史や知識を学びながら、貴重な原酒のテイスティングも楽しめる“大人の社会見学”を、ぜひこの夏体験してみてはいかがでしょうか。

 

サントリー 山崎蒸溜所

住所:〒618-0001大阪府三島郡島本町山崎5-2-1

営業時間:10:00〜16:45(最終入場 16:30)

休業日:年末年始・工場休業日(臨時休業あり)

予約受付電話番号:075-962-1423(電話受付時間 9:30〜17:00)