米マサチューセッツ州メルローズに住む7歳のジェイコブ君(2017年5月9日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】米ボストン(Boston)北郊外にあるおしゃれな家族向け住宅地メルローズ(Melrose)の大きな家に住んでいるミミさん(40)とジョーさん(39)夫妻。

 ルメイ(Lemay)家では、ようやくよちよち歩きを卒業したばかりの幼い子がふさぎ込んだ様子で、何か月も、何度も、同じ言葉を繰り返していた。「違うよ。僕は女の子じゃない。男の子だ」。この言葉によってルメイ家は、「ミア」が「ジェイコブ」になるべきだと悟った。

 ルメイ夫妻には8歳と4歳の娘、それに7歳の息子がいる。息子は2010年に生まれ、ミアと名付けたが、4歳のときに公式にジェイコブと改名した。

 米国でトランスジェンダー(性別越境者)の生徒・学生のトイレ使用を保護する連邦政府の指針をドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が撤回し、議論が再燃したとき、ルメイ家はこの出来事が自分たち家族にどんな動揺を与えたか、また同じ体験をくぐり抜けている人々にどれほど安心や助けを差し伸べることができるか、といった話を公にして分かち合うことにした。

 公式な統計はないが、子どもの性の変更は米国の数百家庭に影響を与えている。

「ミア」だったジェイコブ君の希望をルメイ家が受け入れてから約3年がたつ。知り合いもジェイコブ君のことをおおむね受け入れているが、母親のミミさんは「困難なとき」や「真の悲しみの日々」があったとも言う。「うれしくもあり悲しくもあります。自分の子どもが満足するのを見るのは大きな喜びですが、世間の敵意に対する心配も大きいです」と彼女はAFPの取材に語った。

「それに喪失感もあるのです。自分ではこうだと思っていた相手がそうではなく、でもその姿が自分の心の中になお存在し続けているのです」。だが、ルメイ家はまったく後悔していない。

 ユダヤ教の超正統派のコミュニティーで育ったミミさんは、大人になってそこを去った。息子が性別を変更するにあたって、自らの反抗の経験が役立ったと語る。

■子どもの人生を本当に考えて

 父親のジョーさんは電子ノートを製造するベンチャー企業の共同創立者だ。トランスジェンダーの子どもを支援する専門家やサポートグループの助言を得て、選択が具体化したという。

 ミアが男子として生きることを拒絶していたら、ミアはその後の人生を「羞恥心と、精神衛生に深刻な問題を抱えつつ育つ」リスクがあり、それには自殺リスクの増大も含まれていたとジョーさんは説明した。

 一方、夫妻が子どもの性別変更に同意すれば、体裁は悪いかもしれないし、おそらく引っ越しを余儀なくされるかもしれないが、その方がリスクが小さく思えた。ジョーさんは「保守的な物事はいずれ変わっていくと思いました。本当に危険なのは『いや、まだ早い』とか『絶対にだめ』などと言うことだった」と語った。

 この間、ルメイ夫妻は、自分の身体的性別を拒否する幼い子どもを持つ他の親たちにとって頼みの綱となってきた。ソーシャルネットワーク上で、2人はジェイコブ君が幸せを取り戻したことを何度も語った。

 2014年6月に性を変更した後、ジェイコブ君は転校し、今では彼の前の性別を全く知らないクラスメートから男子として受け入れられている。

 新しい学校では学区の援助を受けて、校長がトランスジェンダーの生徒に関する研修を開催し「我々の文化の新たな面について」教職員が質問し、理解をより深める機会を提供した。ジョーさんは「社会はやがて受け入れるようになるでしょう」と語った。

【翻訳編集】AFPBB News