(写真提供=SPORTS KOREA)殺害予告を受けたApink

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韓国のアイドルが相次いで脅迫を受けている。

ガールズグループApinkの所属事務所Plan Aエンターテインメントの関係者は6月15日、「身元不明の男性が江南(カンナム)警察署へ“Apinkをナイフで刺し殺す”と脅迫の電話をした」と明らかにした。

その直前の13日には、ガールズグループTWICEの日本人メンバー・ミナが韓国版「2ちゃんねる」と呼ばれる「日刊ベスト(イルベ)」上で一人のイルベ会員に殺害予告を受けている。

また3月には男性アイドルグループ防弾少年団のジミンもSNS上で「アメリカ・カリフォルニアでの公演のときにジミンを殺す」と脅迫を受けていた。

11年間追い回したストーカー

アイドルへの相次ぐ殺害予告に日本と韓国のファンは動揺を隠し切れない様子だが、そもそも韓国では、これまでも芸能人に脅威を与えるファンは存在していた。

ファンによる芸能人への脅威が明るみに出たのは、1998年の事件がきっかけだった。

歌手のキム・チャンワンが、11年間に渡って自身を追い回していたストーカーを告訴したのだ。

ストーカーは懲役1年の実刑判決を受けたが、服役を終えるや懲りずにキム・チャンワンを追いかけまわしたという。

その後も同様の事件は後を絶たなかった。

例えば2011年にはSUPER JUNIORのイトゥクとヒチョルの乗った車が追跡してきたファンにより7台の玉突き事故を起こされており、2012年には少女時代のテヨンが公演中に舞台に乱入してきた男に連れ去られそうになったりと、一部の悪質なファンが芸能人を苦しませてきた。

自宅に侵入して使用済みナプキンを…

韓国では、このように芸能人に執着するファンのことを“サセン・ファン”と呼ぶ。

「サセンファル(私生活)まで追い回すファン」という意味だ。

日本で言う“追っかけ”のイメージだが、サセンの行動は度を越えている。

撮影現場やテレビ局はもちろん、レストランや自宅まで追跡して“出待ち”をするのは基本で、芸能人が乗る車にGPSや盗聴器を仕掛け、ファン同士で情報を共有することもあるらしい。

それどころか、芸能人の自宅に忍び込んで生理のあとのナプキンを集めて置いていったり、自宅前で大便をしたりするファンまでいるという。

「アイドルも私たちを嫌っているわけじゃない」

なぜ、サセンたちはこういった異常な行動に出るのだろうか。

かつて、ある男性アイドルのサセンだったという女性は、韓国メディア『ノーカット・ニュース』の取材に対しこう語っている。

「アイドルを追いかけながら、“私たちは面倒な存在かもしれないけれど、私たちがいないと虚しく寂しいはず”という根拠のない自負心もありました。私たちはアイドルがステージを降りてもずっと応援しているわけだから…」

実際、出待ちのファンに差し入れをくれたり、飲みの席に誘ってくれたりすることもあったという。

「今にして思えば、苦労して応援してくれるファンへの単純な行為だったと思うのですが、そういうやさしさに接すると、“アイドルも私たちを嫌っているわけじゃない”と錯覚してしまう」

確かに、芸能人が人気商売である以上、ファンの存在は重要であり、彼らを拒絶することは難しい。

2011年に宿舎マンションに「ジュンヒョンを略奪する」と落書きされた男性アイドルグループBEASTのジュンヒョンも、被害を受けた際に「程度が深刻であれば良くないが、関心を持ってくれたからこその行動なので、悪いことだけとは思わない」と譲歩する姿勢を見せていた。

ただ、それでも行き過ぎた行為に対しては怒りをあらわにする芸能人もいる。

俳優のチャン・グンソクは、2012年にサセンに車を追跡された際、「はっきり言ってサセンなんていらないから消えろ」と切り捨てている。

Apink所属事務所の強硬対応

いずれにせよ、こういった芸能人に執着する行為がエスカレートする中で今回の殺害予告が起きたわけだが、最近はインターネットの普及によって、事態はより深刻になってきているという。

韓国の芸能関係者は「SNSなどの発達が脅迫事件を触発している。スターたちが直接SNSを運営し、ファンとコミュニケーションを取り始めた。ファンにとっては、これまで以上にスターに執着できる環境が整ったと言える」「そればかりか、匿名性が広がる分野であるために、正常なファンとの区別もつきにくくなっている」と分析している。

今回、TWICEのミナが「イルベ」に殺害予告を書き込まれた事件も、そういった環境の変化が一因となって発生した可能性は否定できない。

15日の殺害予告を受け、Apinkの所属事務所は「所属アーティストを相手に行われる悪質な書き込みや様々な脅威に対して、さらに厳正に対応していく予定です。これ以上同様のことが再発しないよう、より一層、強硬な法的対応で事案に臨む予定です」と表明したが、これからも芸能人がファンに喜びを届けていくためにも、事件が続かないことを願うばかりだ。

(参考記事:元大統領への冒涜に、女性アイドル殺害予告まで!! 韓国社会の問題児「イルベ」とは

(文=S-KOREA編集部)