<トランプの名前がついたコンドームから爆薬まで。大統領の影響力で儲ける「利益相反」問題を誰も気にしないのか>

ドナルド・トランプ米大統領が以前中国で申請して、退けられていた商標6件が登録を認められた。この追加承認で、トランプの「利益相反」論争はさらに熱を帯びそうだ。合衆国憲法は報酬条項で米連邦政府の当局者が外国政府から経済的利益などを受け取ることを禁止しており、これに違反する恐れがある。

昨年の大統領選の最中にはトランプは、アメリカの雇用を中国が奪っていると非難した。しかし今年4月、フロリダ州パームビーチの別荘「マール・ア・ラ―ゴ」に中国の習近平国家主席を招いて首脳会談を行ってからは態度が一変、世界第2位の経済大国への非難は影を潜めた。今回商標登録が認められたのが、その返礼だとすれば利益相反に相当する。

【参考記事】ついに中国で成立した「トランプ」商標登録
【参考記事】アゼルバイジャンのトランプ・ホテルは利益相反の巣

これでトランプは、中国全土で123件の商標を登録または承認されたことになる。

トランプは中国で実質的にビジネスを手掛けているわけではないが、商標を登録することで、現地の業者が自分の名前を冠した商品やサービスを提供する場合に一定の利益を得ることができる。AP通信によると、トランプの商標は多岐に渡る。中国語表記のものでは靴下、広告、美容サロン、英語表記では時計や宝飾品の修理サービスなど。

トランプは大統領に就任してからビジネスからは表向き手を引き、トランプ・オーガニゼーションの経営は2人の息子に委ねている。

イバンカ・トランプの商標も

中国はトランプの長女イバンカのファッションブランド「イバンカ・トランプ」にも4月、新たに4件の商標を認めた。同ブランドの工場の労働者はかなりの低賃金で働かされていると非難されているにも関わらず、だ。

【参考記事】親馬鹿トランプ、イバンカをかばい「利益相反」体質さらす
【参考記事】イバンカのアパレル工場は時給1ドルのブラック企業だった

中国商標局のデータベースによると、イバンカ・トランプの商標は仮承認と承認済みを合わせれば、少なくとも24件ある。これに加えて未決が43件、無効が3件あると、米ABCニュースは報じた。

トランプの商標が新たに認められたというニュースは、大統領職とビジネスの利益相反を批判する側を勢いづけるだろう。メリーランド州とコロンビア特別区の両司法長官は12日、利益相反に絡んで、トランプを提訴した。

トランプは長年、中国での商標登録を増やそうとしてきた。今ではコンドームから爆薬まで、中国で自分の名前が使われるときはもれなくライセンス収入が入るようになっている。

大統領の立場を利用して、家族のビジネスの利益を増やすのは、利益相反ではないのだろうか。

【参考記事】「英中蜜月」の終わり──英国でも日本でも米国の国益に反した政権は崩壊する

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
ご登録(無料)はこちらから=>>

エレノア・ロス