70年代の教育と滝山コミューン

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コミューンという言葉はいまや聞きなれないものとなっていますが、かつてはよく用いられていました。ヒッピーたちが山奥などに集団で移住し、そこで共同生活を送る場所を指してそう呼ばれます。ある種理想的な場所ですが、その分共同体の意識も強く、そこから一歩外れた人間は攻撃の対象となることもあります。そんな世界を描いた本が政治学者の原武史による「滝山コミューン一九七四」です。

小学校時代の記憶

著者は、東京都の滝山団地で幼少期を過ごした思い出をコミューンという言葉で回想しようとします。著者は、地元の公立小学校に通いながら、一方で、中学受験に向けた進学塾へも通うようになります。2つの自己を使い分けていたわけです。公立校の教師は、塾を敵視しているかのような言動が見られ、著者が学校で教わっていないことをやると怒られるといったさまが描かれます。こうした経験は誰しも少なからずあるのではないでしょうか。

特殊だったのか?

本書は、1970年代の東京のある地域で起こっていた現象を、つぶさに記録したものです。教育というのは、ある意味では、それを受けた人は、それが標準と思い込みがちですが、はたからみれば特殊な状況にあることもあります。そうしたギャップを、複眼的な視点から、浮かび上がらせたものが本書です。