ノスタルジックな坂の街として人気が高まっているポルトガルの首都・リスボン。ユーラシア大陸最西端という、日本から見てはるか彼方に位置していながら、なぜか懐かしさを感じる不思議な吸引力を持っています。

これから行きたい場所として注目を集める、リスボンで必見の観光スポット10選をご紹介しましょう。

・ジェロニモス修道院

リスボン随一の観光地が、世界遺産に登録されているジェロニモス修道院。

エンリケ航海王子とヴァスコ・ダ・ガマの偉業をたたえるため、マヌエル1世が1502年に着工。およそ1世紀をかけて完成しました。

交易によってもたらされた莫大な富を費やして建てられた、ポルトガルの黄金時代を象徴する建造物で、大航海時代に発達したマヌエル様式の傑作といわれています。

なかでも中庭を囲む回廊が見どころで、マヌエル様式ならではの、航海に関連したモチーフの精緻な彫刻の数々は圧巻。光の陰影が織りなすさまざまな表情を楽しみながら、異なる角度からじっくりと眺めてみましょう。

・ベレンの塔

ジェロニモス修道院とあわせて世界遺産に登録されているのが、テージョ川のほとりに建つベレンの塔。

ジェロニモス修道院と同じく、ポルトガルを代表するマヌエル様式の建築物で、マヌエル1世の命により1515年に着工、1520年に完成しました。

もともとはテージョ川を通行する船を監視するための塔として建てられましたが、のちに船の通関手続きを行う税関や灯台としての役割も果たしました。その優美なたたずまいは、司馬遼太郎が「テージョ川の貴婦人」と称えたことでも知られています。

塔のテラスからは、かつて冒険者たちが繰り出していったテージョ川を一望。壮大な歴史ロマンが感じられます。

・アジュダ宮殿

ジェロニモス修道院からほど近いところにある、プラガンサ王朝の居城であったアジュダ宮殿。

観光客であふれるジェロニモス修道院とはうってかわって来場者のまばらなアジュダ宮殿ですが、豪華な内装や調度品で飾られた部屋の美しさと多彩さには目を見張るばかり。華麗なる王族の住まいをじっくりと見学できる穴場的スポットです。

・サン・ジョルジェ城

街で随一の高台にそびえるのが、ローマ人の手によって築かれたサン・ジョルジェ城。

城といっても現在はほとんど城壁のみが残っているに過ぎませんが、1500年の時を超えてリスボンの街を見守ってきたその姿には、重厚な風格が漂います。

サン・ジョルジェ城のお楽しみは、なんといってもここから眺めるリスボンのパノラマ。オレンジ屋根の建物や、海のように雄大なテージョ川が一体となった風景は、まさに絶景。いつまでも眺めていたくなることでしょう。

・アルファマ地区

リスボンで最も古い街並みを残すのが、アルファマ地区。このエリアは、1755年のリスボン大地震の被害をあまり受けなかったために、イスラム支配時代の面影が色濃く残っています。

白壁の建物や迷路のように入り組んだ路地・・・まるで時が止まったかのようなゆったりとした時間が流れるアルファマ地区は、どこまでもノスタルジック。大都市リスボンの意外な表情に魅了されるはずです。

・カテドラル

アルファマ地区のシンボル的存在が、カテドラル。1147年からモスクの跡地に建設が開始された大聖堂で、かつては砦の役割も果たしていたという堅牢な外観が印象的です。

質実剛健なロマネスク様式で建てられ、のちにゴシック様式の回廊やバロック様式の祭壇などが付け加えられたため、さまざまな様式が混在しています。正面入口の上に設けられたバラ窓は、ほの暗い聖堂内部に、幻想的な光を演出しています。

・サン・ロケ教会

16世紀末にイタリア人建築家によって建てられたイタリア・バロック様式の教会「サン・ロケ教会」。

シンプルな外観とは対照的に、内部はリスボン屈指の美しさを誇ります。なかでも、モザイクや瑠璃、めのうといった貴石で彩られた「ジョアン・バプティスタの礼拝堂」は息を呑むほどの豪華さ。

この教会は、1584年に天正遣欧少年使節が1ヵ月ほど滞在したことでも知られており、日本人ゆかりの地としても見逃せません。

・国立古美術館

ポルトガルを代表する美術館である、国立古美術館。宮殿を改装した館内には、12世紀から19世紀までのポルトガル芸術や、大航海時代に世界各国から収集した宝物の数々が並んでいます。

なかでも日本人にとって必見なのが、桃山文化の最高傑作といわれる日本の南蛮屏風。屏風に描かれている、当時の日本とポルトガルの交流の様子も興味深く、遥かポルトガルで日本の宝と出会う体験は、感動的です。

・国立アズレージョ美術館

ポルトガルを旅すると、いたるところで伝統の装飾タイル「アズレージョ」が目に留まり、その美しさに心を奪われます。15世紀から現代にいたるまでの、歴史的・芸術的価値の高いアズレージョを集めたのが国立アズレージョ美術館。

時代ごとのアズレージョの変遷がわかるだけでなく、アズレージョが表現するモチーフの多様さに驚かされます。美術館の建物はもともと教会だったことから、美しい回廊や、アズレージョで彩られた豪華絢爛な礼拝堂にも注目。ますますアズレージョのとりこになるはずです。

・リベイラ市場

リスボンでいま旬のグルメスポットがリベイラ市場。100年以上前に創設された歴史ある市場を改装し、2014年にグルメ市場としてリニューアルオープンしました。

500席を有する広いフードコートには海鮮料理をはじめとするリスボンの有名店が軒を連ね、人気店の味を気軽に楽しめるとあって、現地の若者から観光客まで幅広く支持されています。

スイーツやドリンクも充実しているので、ランチからディナーまで、一日中楽しめます。スタイリッシュなフードコートと、ローカルな雰囲気が残る昔ながらの生鮮市場とのコントラストにも注目。

日本人にとって近くて遠い存在であるポルトガル・リスボン。さまざまな表情で訪れる人を魅了する「遥かなる隣人」に、あなたも会いにいってみませんか。

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