藤原竜也×伊藤英明『22年目の告白』は名作サスペンスの“良いトコ取り”

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藤原竜也と伊藤英明が初共演を果たし、6月10日に公開を迎えた映画『22年目の告白−私が殺人犯です−』。鑑賞者からは「殺人犯だけどこんな藤原竜也見たことない」「ハラハラする展開の連続」など絶賛の声が相次いでおり、一瞬たりとも目が離せないスリリングな展開に魅了される観客が続出している。そんな本作が、いかに名作サスペンスの“良いトコ取り”をしているのか、日本アカデミー賞受賞作の『告白』『悪の教典』を例に比べてみた。

入江悠監督が手がける本作は、1995年、残忍な手口で5人の命を奪い世の中を震撼させた連続殺人事件の犯人が、事件から22年後、自身の殺人を告白した本の出版記念会見を行うという前代未聞の衝撃的な展開から始まる。「被害者に近しい者に殺人の瞬間を見せつける」残忍な犯行を繰り返した殺人犯・曾根崎雅人(藤原)は、出版した殺人の告白本「私が殺人犯です」を手に会見や握手会、TV 出演とキャンペーンを展開する。そんな犯人を22年間追い続けてきた刑事・牧村(伊藤)の気持ちとは裏腹に、加熱するマスコミ報道。SNS により美しい容姿とともに拡散された曾根崎は日本中から罵声と歓声を浴びながら、一躍時の人になっていく……。

数々の作品に触れてきた日本アカデミー賞の審査員が一定の評価をしていることからも、良作が多いことが伺えるサスペンス作品。これらに共通するのは、“最初から犯人がわかっていること”だ。最後に犯人にたどり着く推理物とは異なり、最初から犯人がわかっている作品では、物語のラストに向けて紡がれる緊迫したやり取りに集中して楽しむことができる。

松たか子主演の『告白』では、生徒に愛娘の命を奪われた女教師による、緻密な計算の上で行われる数々の復讐が鑑賞者を釘付けにした。計算され尽くされた復讐劇は、鑑賞者の予想を裏切り続け、「まさか」の展開が怒涛の勢いで押し寄せる。一瞬先に何が起こるのかわからない展開の連続が高い支持を集めた。

一方、『悪の教典』では、普段は人当たりが良く人気者で、生徒のみならず教師仲間からも絶大な信頼を集めるが、本性は目的のためならば殺人も厭わないサイコパス・蓮実聖司(伊藤英明)の存在が作品の人気を支えたと言える。あるきっかけから本性を現した蓮実は、生徒たちを次々に殺害していくが、その突き抜けた残虐さとクズさがあってこそ、作品は好評を博すこととなった。

『22 年目の告白』には、上記2作品の「一瞬先も読めない怒涛の展開」「理解できない殺人犯がもたらす緊張感」といった要素がふんだんに盛り込まれている。曾根崎は美しい容姿を活かし、蓮実のように熱い支持を集めるが、かつて5 人の命を奪った上に自身で殺人の告白本を出版した殺人犯。表向きには人気を得ながらも、腹の底では何を企んでいるのかが全く読めない恐ろしさとクズぶりは蓮実を彷彿とさせる。そして、『告白』のように、曾根崎の行動が次々と新たなる事件を呼ぶ怒涛の展開は、一瞬たりとも目が離せない緊迫感が続く。果たして、曾根崎の真の狙いとはいったい何なのか。鑑賞者絶賛のサスペンスエンターテインメント大作は必見だ。