MBAは起業家への道にあらず? 起業する卒業生はわずか、大半は現実的

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 アマゾンのジェフ・ベゾスやFacebookのマーク・ザッカーバーグといった起業家がアメリカ社会において憧れの存在になっている。そして、多くの起業家を排出しているMBAは、起業家志望の若者にとっても人気を誇る。しかし意外なことに、卒業後にそのまま起業する学生は希少な存在だという。

◆MBA卒業生のたった3%が起業家に
 MBAの学位取得は人気ゆえに学費も高い。ブルームバーグによると、ケロッグ経営大学院やハーバードビジネススクールに入学する平均的なMBA学生は、8万ドルから9万ドルのサラリーを手放して入学するケースが多いという。MBAの二年間にかかる費用と在学に稼ぐことができなかった賃金を合計すると、その額は38万ドル以上だ。それだけの機会損失をかけたMBA学位取得後の進路のほとんどは、コンサルティング、金融、テクノロジーなどの大企業に就職し、起業するものはたったの3%だという。

 現実的な問題として、MBA取得のためのローン返済などを進めるためには、大企業での確実な高給が必要という背景などもあると考えられる。起業家排出のイメージが強いMBA卒業生ではあるが、進路は思いの外現実的ということだ。

◆MBAの育てる学生と一般企業の求める人物像のギャップ
 現実的な企業就職という選択肢を選ぶMBA卒業生は、就職先において困難に直面することも多いようだ。前掲のブルームバーグでは、MBAが学生に求めるのはクリエイティビティ、コラボレーション、ストーリーテリングといった要素であるが、これらは一般企業が求める学生像とは合到していないと伝えている。企業が求めるのは、リーダーシップや戦略的思考の備わった人材であり、MBA卒業生のなかには企業文化に馴染めないものもいるようだ。ジョンソン&ジョンソンで多くのMBA卒業生を多くチームに採用した経験のあるデリク・カーディ氏によると、MBA卒業生は指示されることを嫌い、すぐ仕事に飽き、企業文化と噛み合ない者が多いという。

◆トップ校では相対的に高い起業率
 ブルームバーグは、全米のMBA校を調査しランキング形式で発表している。このランキングでは雇用者の評価、OBとOG、在学生の評価、サラリー額、就職率という五つの要素をもとに評価されている。上位にはハーバード大学、スタンフォード大学、シカゴ大学、ペンシルバニア大学、MITなどといった有名校が並んでいるが、こうした有名校のMBA卒業生は起業率も高い。スタンフォード大学は16.4%、ハーバード大学は9.2%、MITは7.0%の卒業生が起業しているという。

 MBA卒業は必ずしも起業家の道を拓くものではなく、むしろ起業に進むことはレアケースようだ。MBA卒業生の進路に関するデータを見る限り、そもそも起業家になる方法は学校で身につけるようなものではなく、独力で道を切り開いていくものなのかもしれない。