強毒アリを確認したら要注意(画像は環境省ウェブサイト上の報道発表より)

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環境省は2017年6月13日、兵庫県尼崎市で5月26日に発見されたアリが特定外来生物の「ヒアリ」であることを確認したと発表した。

北米や中国、フィリピン、台湾などにも外来生物として侵入・定着し大きな問題となっている。強い毒を持ち、刺された場合体質によってはアナフィラキシー・ショックを起こす可能性があるため、同省は現在確認地点で捕獲トラップを設置し侵入がないか緊急調査を行っている。

台湾在住の男性「日本のアリよりはるかに凶暴」

環境省の報道発表によると、すでにヒアリが定着している中国広東省広州市から出航した貨物船で運ばれ、神戸港に陸揚げされたコンテナ1個の中にいた。尼崎市で荷物を取り出す際に、内部にアリのコロニー(成虫から卵までを含む巣)があることに気がついた業者が近畿地方環境事務所に報告し、同事務所が届けられたアリのサンプルを専門機関で分析したところ、ヒアリだとわかったという。

分析前に環境事務所が業者にコンテナの燻蒸消毒を行うよう依頼し、6月5日には業者がコンテナ内のアリがすべて死滅していること確認。また、6月13日時点では他の貨物やコンテナが一時保管された場所の周辺でヒアリは確認されていない。環境省は中国で積み出す際にコンテナ内部にアリが付着していた可能性が高く、神戸港周辺に定着し繁殖している可能性は低いとしている。

国立環境研究所のウェブサイトによると、ヒアリの体長は2.5〜6ミリ程度で体色は赤茶色。爬虫類や小型哺乳類を集団で攻撃して食べてしまうほど攻撃性が強く、刺激を受けると顎で噛みつき、尾部の毒針で何度も刺しアルカロイド系の強い毒を注入するため、激しい痛みやかゆみ、発熱、じんましんなどを引き起こす。

台湾に住む50代の日本人男性は、「うっかり巣の近くの地面を掘り返すと、ワッと足に群がってくる」とJ-CASTニュースの取材に答えた。

「刺されたことはないのですが、日本にいるアリに比べてはるかに凶暴ですね。地面が少し盛り上がった小さなアリ塚のような巣なので、盛り上がっている地面は避けるようにしています」

アルカロイド系の毒はハチの毒と似ているため、ハチに刺されたことがある人はアナフィラキシー・ショックを起こし、こん睡状態に陥る可能性が指摘されている。1930年代からヒアリの定着が確認されている米国の国立労働安全衛生研究所は、年間約100人がヒアリによって死亡しているとし、十分注意するよう警告しているほどだ。

環境省はウェブサイト上で公開しているハンドブック「ストップ・ザ・ヒアリ」の中でヒアリに刺された場合、20〜30分ほど安静にして様子を見つつ、急速に体調が悪化するなどの変化が見られた場合は速やかに医療機関に行き、「アリに刺されてアナフィラキシー・ショックを起こしている可能性がある」と伝えるよう明記している。

有毒外来生物はアリ以外にも

今のところヒアリが定着している様子はないものの、環境省は神戸港周辺に限らず海外からの貨物や旅客が到着する港や空港の近くには侵入するリスクがあるとして、ヒアリと思われる個体が発見された場合には、管轄区域の環境省地方環境事務所に連絡するよう求めている。

ヒアリに限らず、毒を持つなど危険性の高い外来生物は数多く存在し、いくつかは国内での生息も確認されている。昆虫に限っても、例えば東京都内では20年ほど前から熱帯原産で神経毒を持つ「ハイイロゴケグモ」が断続的に確認され、最近では2014年に三鷹市や江東区で有毒の「セアカゴケグモ」が発見された。これらゴケグモは神奈川や愛知、大阪、兵庫、広島など比較的大きな港がある地域でも発見例がある。

また攻撃性が高いスズメバチ「ツマアカスズメバチ」は2012年に対馬で発見され、以降2015年には福岡、2016年には長崎でも確認されるようになるなど徐々に生息範囲を広げている。

外来種には日常的になじみがなく、知識がなければ危険だからと回避するのも難しい。自分の身の回りの危険な外来生物が気になる場合、環境省や各自治体のお知らせや注意喚起を確認しておくといいだろう。