レポートカード14 未来を築く:先進国の子どもたちと持続可能な開発目標(SDGs)

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 ユニセフ(国連児童基金)は6月15日、報告書「未来を築く:先進国の子どもたちと持続可能な開発目標(SDGs)」を発表した。先進国では子どもの5人に1人が相対的貧困状態にあるという。日本は、子どもの貧困・格差において厳しい状況にあることがわかった。

 今回発表された報告書は、ユニセフ・イノチェンティ研究所が毎年発行している「レポートカード」シリーズの14冊目となる最新刊。「持続可能な開発目標(SDGs)」のうち、子どもにもっとも関連が深いと考えられる10の目標に焦点をあて、特に先進国の子どもの状況を分析するために選択された25の指標について各国を順位付けしている。調査対象国は、欧州連合(EU)または経済協力開発機構(OECD)に加盟する41か国。

 報告書によると、先進国の子どものうち平均5人に1人が相対的貧困状態にあるという。しかし、国によって状況は大きく異なり、イスラエル、ルーマニアでは3人に1人という結果だった。また、食料の確保が不安定な状態にある子どもは平均して8人に1人、英国、米国では5人に1人、メキシコ、トルコでは3人に1人であった。新生児死亡率はほとんどの国で劇的に低下、若者の自殺率や出生率、飲酒率も低下している。しかし、若者の4人に1人が週に1回以上、複数の精神上の問題症状があると回答している。

 質の高い教育について日本やフィンランドなどもっとも結果が良かった国でも、15歳の約5人に1人が読解、数学、科学において基礎的な習熟度に達していなかった。また、大人の14%が「男子が大学教育を優先的に受けるべき」だと考えており、ほとんどの国では、そのように考える人の割合は女性よりも男性が高かったという。

 日本の結果を見てみると、健康は40か国中8位、教育は41か国中10位と比較的良い結果であった。しかし、子どもの貧困は37か国中23位、格差は41か国中32位と格差が大きいほうから10番目であった。また、教育における基礎的習熟度に達する子どもの割合は38か国中2位である一方で、社会経済階層による学力格差を示す指標では39か国中26位という結果だった。

 日本についてのデータを提供した首都大学東京の阿部彩教授は「順位に一喜一憂することはない」としながらも、「日本については、特に底辺に属する子どもたちの状況が厳しいことがわかりました。また、今回成績が良かった栄養などの分野についても、若干異なる指標によれば成績が低いのではと懸念される分野もあります」とコメントしている。

 報告書では、比較可能なデータの収集を強化することや、レポートカードの順位を各国の状況に合わせた政策対応を改善することに活用することなどを提言している。イノチェンティ研究所のサラ・クック所長は、「高い所得が自動的にすべての子どもにとって良い結果をもたらすわけではなく、格差を助長することさえあるのです。すべての国の政府は、格差が縮小され、子どもに関するSDGsが達成されるよう、行動をおこす必要があります」と述べている。 《リセマム 外岡紘代》