「名文」ではなく「明文」で書く

写真拡大

読者に愛されるいい本に求められる文章は、名作のような名文ではありません。表現の難しい言葉ではなく、わかりやすくておもしろく、深みのある「明文」を書く秘訣をご紹介します。

わかりづらい文章の典型は政治家の言葉

わかりづらい文章の典型は政治家の使う言葉ではないでしょうか? 
私の会社でインターン(就職する前に実際の会社で見習い社員として研修をする)をしていた学生たちが、『お役人コトバの謎』(東大ベストセラー出版会PICASO編 三省堂)という本を出しました。
政治家や官僚などが使う言葉は表の意味と裏の意味があるという、とてもブラックな笑いの本です。

建前の言葉の裏の意味は?

たとえば、市民たちが政府に何か抗議したいことがあってデモ行進したとします。
このとき政治家が「慚愧(ざんき)に堪えません」という言葉をよく使いますが、その意味は、「そんなこと気にしないでくれよ」という意味です。
「遺憾(いかん)です」は、「あなたは残念でしたね」という意味です。
「私は痛くもかゆくもないよ」という意味が言外に含まれています。

文章は本音で書こう

このように、政治家や官僚だけではなく、私たちの使う便利な日本語は、「建前」の中に「本音」が隠されているのです。
しかし、あなたが本を書くときには「建前」で書いてはいけません。「本音」で書いてください。
日本語は表現が多種多様で、文章の書き方が世界一難しいと言ってもいいでしょう。

名文ではない明文の3条件とは

文章を書くコツは、「名文ではなく明文で書く」ということです。
「名文」とはどういうことかというと、

 難しいことを易しく、
 易しいことをおもしろく、
 おもしろいことを深く書く。

これが、「名文の3条件」です。

プロが教える文章作法

たったこれだけでだれでも文章がうまくなります。
これは井上ひさしさんの文章作法を参考にして、私なりにアレンジを加えたものです。
これが完璧にできれば、あなたは今日からプロの作家としてたくさんの本を書いていくことができるでしょう。

【まとめ】

・政治家の使う言葉に代表される「建前」の言葉は、本当の意味を伝えにくくしてしまいます。
・本を書く時は「建前」ではなく「本音」で書きましょう。
・難しいことを易しいことをおもしろく、おもしろいことを深く書くのが「明文」です。日本語の難しさに気を取られずに、素直な気持ちで書いてみることから始めませんか?

★ 参考図書『本を出したい人の教科書』
著者:吉田浩(よしだ・ひろし)