毒性の高い原料を使うことなく、二酸化炭素と糖を使って生体適合性のあるプラスチックを製造することに、イギリス・バース大学の研究者が成功しました。

Polymers from sugars and CO 2 : ring-opening polymerisation and copolymerisation of cyclic carbonates derived from 2-deoxy- d -ribose - Polymer Chemistry (RSC Publishing) DOI:10.1039/C7PY00236J

http://pubs.rsc.org/-/content/articlehtml/2017/py/c7py00236j

Scientists make plastic from sugar and carbon dioxide | University of Bath

http://www.bath.ac.uk/research/news/2017/06/12/scientists-make-plastic-from-sugar-and-carbon-dioxide

透明で熱可塑性のあるプラスチックの「ポリカーボネート」は、ウォーターボトルやCDやDVD、メガネのレンズ、傷に強いコーティングなどに用いられている身近な樹脂材料です。このポリカーボネートの製造では一般的にビスフェノールA(BPA)やホスゲンという毒性の強い化学物質が使われています。しかし、近年、BPA由来のプラスチック製品が人体に悪影響を与える危険性が指摘され、乳児用のほ乳瓶での使用が禁止されるなど世界的に問題となっています。



これに対して、バース大学のAntoine Buchard博士らの研究チームは、チミジンと二酸化炭素を原材料にして土壌細菌由来の酵素を作用させることで新しいポリカーボネート樹脂を生成するプロセスの開発に成功しました。しかも合成は低圧で室温環境下で可能だとのこと。塩基+糖が結合したヌクレオシドの一つであるチミジンからポリマーを合成することで、生体適合性のあるプラスチックが生成できます。



この生成プロセスではホスゲンを使う事がなく、製造過程での汚染物質の排出が抑制されます。さらに、この新しいポリカーボネートはチミジンから作られ生体分解性があるため、分解されないプラスチックの廃棄問題が生じないというメリットもあります。

チミジンから生成されたプラスチックは石油から作るものと同様に強く、透明でひっかき傷に強いなどの物理的特性を示しているとのこと。生体分解性を持ち、生体内での適合性もあることから、食品容器を置き換えるだけでなく、医療用インプラントや移植する臓器を支える「足場」としての利用も期待されています。

研究者は今後、リボースやマンノースなどの他の糖から樹脂を合成するプロセスを研究する予定だとのこと。Buchard博士は、「化学技術は100年間にわたって石油製品からプラスチックを合成してきましたが、分解性を持ち再生可能な糖などから作るプラスチックに切り替え始める必要があります。まだまだ初期段階ではありますが、将来性は有望です」と述べています。