by Juskteez Vu

宇宙がどのように形成され発展していったのかはコンピューターでシミュレーションするという方法で研究が行われています。日本でもスーパーコンピューター「京」と、国立天文台の「アテルイ」を用いたシミュレーションが2015年に行われましたが、スイス・チューリッヒ大学の天体物理学者たちは、新たに過去最大の仮想宇宙を創造したと発表しました。

UZH - The Creation of the Most Complex Virtual Cosmos to Date

http://www.media.uzh.ch/en/Press-Releases/2017/Virtual-Kosmos.html

Scientists have created the largest ever virtual Universe inside a supercomputer - ScienceAlert

https://www.sciencealert.com/scientists-have-created-the-largest-ever-virtual-universe-inside-a-supercomputer



チューリッヒ大学の天体物理学者たちが創り上げた「仮想宇宙」は2兆のデジタル粒子からなる250億の仮想銀河で構成されたもので、過去最大規模のものとのこと。

この研究は2020年打ち上げ予定の暗黒宇宙探査機「ユークリッド」に使用されることを目的として行われました。ユークリッドは宇宙を膨張させる力があると考えられているダークエネルギーや、人間が知覚することのできないダークマターといった未解明の事象を調査するためにデザインされている宇宙望遠鏡。ユークリッドを使っても直接的にダークマターを「見る」ことはできませんが、ダークマターが宇宙に与える影響を観測できるものと見られています。チューリッヒ大学によるバーチャルモデルを使った計算は、ユークリッドが「何を探すべきなのか」を特定するための助けとなり、コンピューターによる理論予測が正確であればあるほど、調査が有意義になると考えられています。

研究者らは、シミュレーションを正確にするため、3年という年月をかけて「PKDGRAV3」という新しいアルゴリズムを開発。宇宙のシミュレーションを行うためにアルゴリズムを慎重に最適化させ、スイス国立スーパーコンピューティング・センター(CSCS)のスーパーコンピューター「Piz Daint」で、ビッグバンから138億年かけて発展してきた宇宙のシミュレーションをわずか80時間で行いました。この中で、密度の濃いダークマターが重力の違いによって周囲からダークマターを引きつけ、どのようにダークマターハローを形成していったのかなども解析されました。数十億の銀河を観測する予定のユークリッドは、この時ダークマターが引き起こす「ゆがみ」によって進む方向を変えられる「光」を探しているため、スーパーコンピューターによる計算がダークマター観測を手助けすると見られているわけです。



by NASA

研究チームのJoachim Stadel氏は、「ユークリッドは宇宙の断層撮影地図を作成し、100億年以上にわたって宇宙がどのように進化していったかをトレースしてくれるでしょう」と語っています。