9日に韓国で発見された、北朝鮮から飛来したと見られるドローン(無人航空機)が、韓国に配備された米軍の最新鋭高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD〈サード〉)の施設の写真を撮影していたことが明らかになった。複数の韓国メディアが報じた。

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韓国軍関係者によると、ドローンにはソニー製のカメラが搭載されており、高度2000〜3000メートルの上空から撮影を行ったという。

慶尚北道(キョンサンブクト)星州(ソンジュ)郡から北に数キロ離れたところから撮影を開始し、THAADが配備された星州ゴルフ場の南数キロのところまで撮影を続け、Uターンして北上しつつさらに撮影を行った。

ドローンが撮影した写真の枚数は500枚以上で、ほとんどは民家や田畑を撮影したものだが、うち19枚にTHAADの設備が写っていた。解像度は低いが、Xバンドレーダーや発射台2基の配置状況は充分把握できるほどだ。撮影は4月末に行われたと見られる。

撮影を終えたドローンは北に向かって飛行を続けたが、燃料不足で墜落したと韓国軍関係者は見ている。韓国軍は、今回発見された地域周辺での捜索を行うと同時に、写真ファイルが無線で転送されたかどうかも含めて調査を行っている。

今回ドローンが発見された地域から星州までは270キロ離れているが、韓国軍に探知されることなく、往復500キロあまりも飛行を続けたことに韓国では衝撃が広がっている。

韓国の各メディアはこの件を大きく報じており、政界からも韓国軍への批判の声が上がっている。

与党・共に民主党の秋美愛(チュ・ミエ)代表は「防空網がこれほど簡単に破られるとは、軍は今まで何をしていたのか」と批判した。野党・自由韓国党は「目の前の北朝鮮の脅威と挑発にも手をこまねいてみているだけだった」として、韓民求(ハン・ミング)国防相の辞任を求めた。

韓国軍関係者は、「北朝鮮は300機以上のドローンを保有しているものと見られるが、従来の地上レーダーによる探知は難しい」と述べた。

また、韓国SBSによると、韓国軍の保有する従来型のレーダーで高度3000メートル以下の航空機、ヘリコプターは探知できるが、ドローンの探知は難しいという。

そのため、イスラエル製の低高度レーダーの導入を始めたが、探知半径が10キロに過ぎない。ソウル周辺に集中的に配備されているが、全国的には数が不足している。韓国軍は、ドローンレーダーの独自開発を進めているが、実戦配備までには2〜3年かかると思われる。