3年目の再上映が実施される『野火』
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 戦後70年の2015年に劇場公開されて高い評価を受けた塚本晋也監督『野火』が、今夏も東京・渋谷のユーロスペースをはじめ全国24館(6月9日現在)でアンコール上映される。8月にはNHK Eテレの教養番組「100分 de 名著」(毎週月曜・後10:25)で原作となった大岡昇平の同名小説が取り上げられ、塚本監督のゲスト出演も決定。「夏が来る度に繰り返し上映される映画になって欲しい」という塚本監督の願い通り、終戦記念日を迎える夏の恒例行事となりそうだ。

 『野火』は“戦争文学の金字塔”と称される大岡の原作をベースに、一人の日本兵の目を通して太平洋戦争末期の、武器も食料もなく餓死者が続出した壮絶なフィリピン戦を描いたもの。出資会社が見つからず、塚本監督は構想20年の思いを自主製作・自主配給でようやく映画化を実現させ、コツコツと上映活動を続けた結果、このほど観客動員8万人を突破した。

 すでにソフト化された作品が劇場で上映されるのは異例だが、塚本監督の「戦争を忘れてはならない」という思いに劇場側が賛同。さらに俳優・塚本晋也が出演した『シン・ゴジラ』や『沈黙 -サイレンス-』を通して、監督もしていることを知った新たな世代がDVDや動画配信で『野火』を観賞し、SNSなどを通じて発信した「大きなスクリーンで観たい」という声が後押したようだ。

 初回上映時には塚本監督が64館の劇場で舞台あいさつをした、全国行脚も話題になったが、今回も可能な限り劇場に駆けつける予定だという。迎える劇場側も気合が入っており、8月15日の終戦記念日に上映するユーロスペース(渋谷)では来場者全員にA3サイズの特製横型ミニポスターのプレゼントを用意。また音響システムに定評のある立川シネマシティでは、『野火』の音響を担当した北田雅也監修によるサウンド設定で8月13日に上映する。

 さらに京都では、京都シネマ(8月5日〜11日)での上映に合わせて、NHK文化センター京都教室で8月5日に「映画が描く『極限状態』の世界」と題した1日講座を開講し、塚本監督が講師を務める。

 戦後72年を経た今も世界では争いの火は消えず、国内では特定秘密保護法に続き共謀罪も成立する流れが生まれており、戦前回帰が懸念されている。塚本監督は「戦争のことを忘れてならないのは、(『野火』を公開した)最初の1年だけではありません。願わくば、毎年終戦記念日近くには『野火』を上映し、いつまでも戦争の恐ろしさを、劇場の大きな空間で体感として味わっていただきたいと、その必要を感じています」と語っている。(中山治美)

【『野火』戦後72年 アンコール上映スケジュール】
*は監督登壇予定有
■関東
【東京】ユーロスペース  8/15(火)*
【東京】立川シネマシティ 8/13(日)*
【東京】新文芸坐 7/30(日)〜8/1(火)*30日登壇
【神奈川】横浜シネマリン 8/15(火)*
【神奈川】シネマ・ジャック&ベティ 8/11(金祝)*
【神奈川】アミューあつぎ映画.comシネマ 8/5(土)〜8/18(金)*11日登壇
【千葉】キネマ旬報シアター 8/12(土)〜8/18(金)*13日登壇
【埼玉】川越スカラ座 8/12(土)〜8/18(金)*12日登壇
【埼玉】深谷シネマ 近日発表
【群馬】高崎電気館 8/5(土)〜8/18(金)*10日登壇

■近畿地区
【京都】京都シネマ 8/5(土)〜8/11(金)*5日登壇
【大阪】シアターセブン 8/5(土)〜8/18(金)
【大阪】シネ・ヌーヴォX 8/12(土)〜8/24(金)
【兵庫】豊岡劇場 8/12(土)〜8/18(金)

■北陸・中部地区
【長野】長野松竹相生座・ロキシー 8/5(土)〜8/11(金)*9日登壇
【愛知】シネマスコーレ 近日発表

■東北地区
【宮城】フォーラム仙台 近日発表
【山形】フォーラム山形 近日発表
【岩手】フォーラム盛岡 近日発表

■中国・四国地区
【山口】カナザワ映画祭(YCAM) 8/6(日)*
【愛媛】シネマルナティック 8/12(土)〜8/18(金)

■九州・沖縄地区
【熊本】Denkikan 近日発表
【大分】別府ブルーバード劇場 8/5(土)〜8/11(金)
【鹿児島】ガーデンズシネマ 8/14(月)、15(火)
※6月9日(金)時点。各劇場の上映予定・登壇日は変更となる場合あり