ブラジルワールドカップ、初戦のコートジボワール戦、前半から選手のキレがなく、後半は明らかガス欠を起こしていた。ドログバの登場でムードが変わり、日本は疲れで動きが淡泊になった状態で同点に追いつかれ、立て続けに失点。日本は大事な初戦を逆転負けで失ったのだ。
 
 後日、当時の原博美専務理事は「指宿でかなりハードな合宿を行ない、怪我上がりの選手には良かった反面、シーズンをフルに戦ってきた選手には負荷が強すぎたのかもしれない」と、調整ミスを認めた。
 
 試合までの日程に差があるしろ、今回も同じことを繰り返してはいないだろうか。
 
 連日、暑いなか、負荷をかけたトレーニングをすれば当然、疲労が蓄積する。それでも今シーズン、出場機会が少なかった本田、長友、岡崎にとってはコンディションを上げる良い機会だったのかもしれない。
 だが、久保や酒井宏、酒井高ら多くの試合に出場した選手にとっては1年間のダメージに疲労が上乗せされることになる。久保がシリア戦で動けず、イラク戦の後半、足が痙攣したことや酒井宏が膝痛を悪化させたことは、こうした海外組合宿でのトレーニングに問題があったように思えるのだ。
 
 もちろんメニューに個人差はあっただろうが、ハードなトレーニングをして本番前に野戦病院化してしまうのは代表チームにとって最悪であるし、選手を抱えるクラブにとっては悪夢でしかない。
 
 今回、怪我人や試合で良いパフォーマンスを発揮できなかった選手が多数出た。
 
 その現実を踏まえて、試合前の海外組合宿やトレーニング内容について検証し、今一度しっかりと考えていくべきではないだろうか。
 
取材・文:佐藤俊(スポーツライター)