アメリカの大学生は歯の矯正器具を3Dプリンターで自作して、大成功。その費用はたったの60ドル(約6700円)だっという

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3月1日に、アメリカ陸軍が発表したプレスリリースによりますと……。なんと、3Dプリンターを使用して兵器である「グレネードランチャー」の制作に大・成・功! さらに最近では一軒家まで作れるとか!

前編に続き、意外と知らない3Dプリンターの最新事情を大紹介!

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―それでは、3Dプリンターが苦手な分野などは? 「DMM.make」の川岸孝輔さん!

川岸 研磨を必要とする製品は難しいです。

―例えば、どんな製品でしょうか?

川岸 ベアリング内のパーツなど精密な研磨が必要な製品は、似たようなものを作れてもスペックは圧倒的に低くなります。現在の技術では金属を素材とした場合、どうしても表面がざらついた仕上がりになってしまいますから。なのでクルマやバイクの車軸、サスペンションなどの摩擦が生じるパーツは苦手です。

しかし現在、金属の出力と同時に研磨を行なうプリンターも開発されていますので、意外とこの問題がクリアされるのは、そんなに先の話ではないと思っています。

―樹脂や金属以外では、どのような素材に対応しているのでしょうか?

川岸 陶器やガラスにも対応しています。

―ガラスのようなクリア素材がオッケーなら、カメラのレンズを作るってことも?

川岸 すでに弊社ではアクリル素材のレンズを制作した実績があります。ただ、これも出力後に研磨作業が必要となります。陶器も、焼く工程を別途、行なわなくてはいけません。

―有能な3Dプリンターでも、まだアナログ的な作業を追加する部分が多い?

川岸 そうですね。ですから弊社のスタッフは3Dデータを制作でき、3Dプリンターを扱えるのはもちろん、さらに研磨や塗装などの職人的な技能を持っていないと務まりません。

―それって、分業にしたらダメなんですか?

川岸 この分野は技術革新が著しく、ひとつの技術に特化すると、それが通用しなくなるリスクが常にあります。ですから、分業は考えておりません。

―最近は医療分野でも3Dプリンターが大進出中です。しかもアメリカの大学生は、3Dプリンターで歯の矯正器具を自作し、セルフ治療してしまうほどと!! これは医療分野へ進出する企業も多くなるのでは?

川岸 歯科の分野ではすでに専用の3Dプリンターが販売され、矯正器具やインプラントに活用されています。今年、スペインでは人工皮膚を制作する3Dプリンターも開発されました。強度だけでなく、精度も日々進化しています。

しかし、医療用の器具を作る場合には、いろいろな認証があります。まず衛生面がしっかりと管理された工場、そして何年もかけた臨床試験も必要になるのです。

―一般の企業の医療分野への進出はハードルが高いと?

川岸 各種認証もあり、3Dプリンターを使用した多くの医療分野の特許はドイツやアメリカが取得していますから、一般企業が参入していくのは難しいですね。

一方、弊社でも受託をしていますが、手術用のシミュレーターなどは認証も少なく、一般の企業が新規参入できる可能性があると思います。

―ここまでプロユース的な3Dプリンターの活用方法を紹介しましたけど、一般のユーザーはどのように使っているのでしょうか?

川岸 弊社の場合ですと、用意されたテンプレートを組み合わせて作るスマホカバーや、写真から3Dデータを起こして制作するオリジナルフィギュアが人気です。

―気になる出力費用は?

川岸 例えばiPhone7サイズのカバーですと4000円から。全高20cm程度のフィギュアですと約2万円です。

―あれ。意外と普通のスマホカバーと変わらない値段設定じゃん!!

川岸 フィギュアの場合ですと、それこそ等身大から全高20mmの極小サイズまで作れます。サイズ、素材、彩色などによって出力の価格は変わってきます。

―で、これらを出力する3Dプリンターはおいくらするんですか?

川岸 秋葉原の施設にある最上位の機種ですと約6000万円になります。

―マンション買えるんじゃないかな?

川岸 正直、気軽に購入できる製品ではありません(笑)。

ですから海外でも、弊社のように3Dプリンターを扱っている企業のサービスを、ユーザーがシェアする使い方が一般的です。現在は家庭用の3Dプリンターも数万円で販売されています。しかし、消耗品や定期的なメンテナンスの費用を考えると、出力を外部に発注するほうがクオリティも高く、制作コストも安くなります。

―いろいろな企業とのコラボなどもありえるのでは?

川岸 例えば最近のゲームは、ほぼ3Dで制作されており、実はこのデータは多少加工すれば3Dプリンターで立体化することができるのです。例えば、ゲーム内の思い出のシーンをフィギュアとして出力するサービスはできます。

また、自動車メーカーのキャンペーンでミニカーをプレゼントする。これは実車の3Dデータを縮小して出力すれば完成しますから、すぐにでもやれますね。希望者だけに3Dデータを配布しますから、一からミニカーを発注して制作するよりコスト的にもお得です。

―ユーザー自身が3Dデータを独自に制作するのはハードル高めな作業なのでしょうか?

川岸 機材と、それを運用する技術が必要になりますね。

―いやー、それを一般ユーザーに求めるのはレベル高すぎ!

川岸 2Dの画像から、3Dのデータを作る。これは、iPhone7Plusをはじめとするデュアルカメラを搭載したスマホなら、すでに可能な技術なのです。ですからスマホ用の3Dデータ制作アプリが普及することで、飛躍的に3Dプリンターの需要は伸びると考えています。それこそ写真を撮って、データをメールで送信すれば、自宅に立体物が届くサービスが可能になります。

―今後、3Dプリンターはどのような発展を?

川岸 昔の子供たちは、おもちゃを買うのではなく、自分で木を削り作っていました。そのように子供たちの間で、3Dプリンターを通じて“自分でおもちゃを作る”という遊びが再び始まると面白いですね。

また、そこから私たちが想像もしなかった3Dプリンターの活用方法が生まれるのではと思っています。

―それが実現するのは、どれぐらい先ですかね?

川岸 オリンピック前に実現してもおかしくありません。われわれ現場の人間が考える以上に3Dプリンターの進化のスピードは速いですから。

*DMM.make3Dプリントでは、武器等の造形は受けつけておりません

(取材・文/直井裕太 撮影/関純一 写真/DMM.make)