イラク戦後には、怪我人が相次ぎ、ゲームプランが狂った点を嘆いたハリルホジッチ監督。欲しかった勝点3は手にできなかった。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 2試合続けて1-1のドロー。キリンチャレンジカップのシリア戦(6月7日)、ワールドカップ・アジア最終予選のイラク戦(6月13日)は、ともに勝利を掴むことができなかった。
 
 テストマッチであったシリア戦は「ここで課題が出たことを前向きに捉えたい」(吉田)と、選手たちは口々にポジティブな発言を残したが、イラク戦ではその反省を勝点3につなげることはできなかった。
 
 もっとも「悔しいが、中途半端に次の試合は引き分けでOKというよりはクリアになって良かった」(本田圭佑)、「ネガティブに捉える必要はない。次は必ず勝って(ワールドカップに)行けると思います」(原口元気)と、決して悲観する状況ではない。
 
 イラク戦を前に、オーストラリア、サウジアラビアと勝点16で並び、得失点差で首位に立っていた日本は、イラク戦のドローで勝点17となり、ロシア・ワールドカップ出場に“王手”をかけた。次戦のオーストラリア戦(8月31日・埼玉)に勝てば、予選突破の条件であるグループBでの2位以内が確定する。もし、敗れれば、最終戦はアウェーでのサウジアラビア戦(9月5日)となるため苦しくなるが、望みが潰えるわけではない(オーストラリアは日本戦以外にタイ戦、サウジアラビアはUAE戦を残す)。
 
 ただ、それでも小さくない失望感が消えないのは、イラク戦はやりようによっては、勝てたゲームだったと言えるからだろう。
 
 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はイラク戦後の会見で、「まったく満足していない。この試合に勝つためにここに来た。交代も前もってプログラムしたが、怪我のせいでできなかった。最後の15分は、まったく違う戦略、速いFWを入れようと思っていた」と試合を振り返る。
 
 後半始めに井出口陽介が相手との接触で頭部を強打し、プレー続行が不可能となり、交代枠をすでに2枚使っていた終盤には、酒井宏樹、久保裕也が同時に足を痛める緊急事態が起きた。バタバタと対応が後手を踏むなか、イラクにゴールを許したのだ。
 
 アクシデントと言ってしまえば、それまでだが、イラク戦を戦うにあたっては、厳しい台所事情を強いられていた。指揮官は6月シリーズのメンバー選考を含め、見通しが甘かったと言わざるを得ないのではないか。
 ハリルホジッチ監督は、シリア戦、イラク戦に向けて、レギュラーCBの森重真人を「(パフォーマンスに)満足できない」と選外とし、清武弘嗣もメンバーリストに加えなかった。一方で、左第5趾基節骨骨折から復帰したばかりの今野泰幸をリスク覚悟で招集し、ブルガリアのベロエ・スタラ・ザゴラ所属の加藤恒平もサプライズ選出。「私のチョイスが良いメッセージになってくれることを期待します。資格がある選手は誰だって呼べるということ」と、競争を煽るような発言をしていた。
 
 しかし、この決断がイラク戦では凶と出た。長谷部誠が右膝の負傷で不在のなか、シリア戦では香川真司が左肩の脱臼でチームを離脱し、右脛を痛めた山口蛍はイラク戦をベンチで見守るしかなかった。今野はなかなかコンディションが上がらず、加藤は信頼を置けなかったのか23人の試合登録メンバーに含めなかった。その意味で中盤は壊滅的な状況だった。
 
 イラク戦の前日会見では指揮官も、あえて清武の名前を出し「長谷部、真司がいない。蛍、今野もどうかという状況。清武もいない」と嘆いたほどだ。
 
 結局は35度を超える気温、1600メートルの高地という環境面を考慮し、イラク戦では“若くて動ける”遠藤航と井手口を2ボランチにチョイス。ふたりはしゃかりきに走り回り、守備面でチームを助けたが、CB昌子源を含めた最終予選初スタメンの3人は、個々で奮闘するも、コンビネーション面で未整備な部分があり、イラク攻撃陣に付け入る隙を与えてしまった。