ハリルホジッチ監督の戦い方に本田は全面的に同調しているわけではなさそうだ。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 さすがに今回はそしりを免れないだろう。いわばギャンブル的な選手選考(常連組の西川周作、森重真人、清武弘嗣を呼ばず、A代表初招集組を4人も加えた)をしたうえに、ホームのシリア戦、アウェーのイラク戦をいずれも1-1とドローで終えたのだから、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は立つ瀬がない。
 
 2016年11月15日のサウジアラビア戦で、当時エース格だった本田圭佑、香川真司、岡崎慎司を揃ってスタメンから外す代わりに、大迫勇也、久保裕也、清武を抜擢して2‐1の勝利に導いた。
 
 そして17年3月23日のUAE戦では、負傷離脱したキャプテン・長谷部誠の代役としてベテランの今野泰幸をボランチに配置し、川島永嗣を約10か月ぶりに先発でゴールマウスに据えて、これまた白星を掴んだ。
 
 いわゆるサプライズ采配でワールドカップ・アジア最終予選の試合をモノにしてきたわけだが、勝負師ハリルも今回ばかりは賭けに負けた。
 
 怪我人続出というアクシデントがあったとはいえ、久保の左ウイング、原口元気のトップ下起用は勝利に直結せず、これまでコツコツと積み上げてきたであろう“信頼関係”がここにきて崩れてしまいそうな危機に瀕している印象さえある。
 
 ハリルホジッチ監督の求心力低下を示唆しているのが、本田のコメントだ。
 
「変な誤解を招くので、あんまり言いたくないですが、監督のやりたいサッカーというのがしっかりあって、それをストレートに伝える人なので、若い選手は素直に聞きすぎてしまう。上手く消化できていない。(ピッチのなかで自由にやって良いのは)当然。監督もそれはやって良いと言っている。ただ、そこの整理を上手くできず、こういう試合で自分の持っている力の半分を出せずにいる。技術的な問題ではなく、そこは精神的な問題」

 すべてが上手く行っているのなら、こうした発言は出てこないはず。チームが機能していないからこその、問題提起だ。
 本田は今年3月のタイ戦後、日本の戦いぶりについて「僕は良いとは思ってない」と苦言。ただ、当時はチームの状況が悪くなかったこと、自身のミランでの立場が微妙だったことから、「話すタイミングを考えたいかなと。今いくらでも言うことはできるけど、できるだけみんなの奥底にスッと入ってくる言葉をタイミングよくかけたいから。もう少し僕の状況が好転してから、そういうことは話したほうがいい」とも話している。
 
 そのタイミングがもしかすると“今”になる可能性はあるかもしれない。
 
 いずれにしても、イラク戦で勝利という結果を残せず、賭けに敗れたハリルホジッチ監督は苦しい局面にいる。そうした状況下で、“反逆児”本田をどう説得するのか。本田と同じように戦い方に疑問を持つ選手が増えるようなら、日本は疑心暗鬼の状態でオーストラリアとの大一番に臨む恐れも出てくる。