『映画 山田孝之3D』は“できちゃった映画”多くを巻き込む「山田孝之」は結局何がしたかったのか

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俳優の山田孝之を3Dで体感できる『映画 山田孝之3D』が、6月16日(金)より全国公開。この作品は、今年1月クールにテレビ東京ほかで放送されたドキュメンタリードラマ『山田孝之のカンヌ映画祭』(以下『カンヌ』)をきっかけとして、山田×ドキュメンタリー監督・松江哲明&映画監督・山下敦弘によって生み出された“脳内スペクタクル3D映画”だ。イリュージョンのような言葉と映像で「山田孝之」を3Dで体感でき、観客を奇妙で恍惚な“山田孝之ワールド”へと誘う。

今回、『映画 山田孝之3D』『カンヌ』だけでなく、『山田孝之の東京都北区赤羽』(以下『北区赤羽』)も手掛けた松江監督と山下監督にインタビュー。この作品が生まれた理由や、長い付き合いの2人だからこそ語れる山田の魅力、さらには、ファンが待望する次回作への構想などについてもたっぷりと伺った。

――この作品の“始まり”を教えてください。

山下:『カンヌ』の方で、映画の話が1度更地になってしまったのですが、誰もいなくなった時に山田くんが目をキラキラさせて改めて「自分の映画撮りたい」って言うから……。実は『北区赤羽』の頃からずっと山田くんのインタビューを撮り溜めていて。山田くんの語りって妙に色気があったり、妙に優しかったり、すごく魅力的なんです。『北区赤羽』を見ていた人には伝わっているかもしれないのですが、そのベースがあったから、今回山田くんを映画にしようと。それと同時に松江くんから3Dというアイデアが出たんですけど、「どういうこと?」と思って(笑) でも、長尾謙一郎さんや、ひらのりょうさんなどが加わって、背景という奥行きが作られていく中で、やりながらわかっていったという感じです。

――松江さんは、どうして3Dにしようと?

松江:山田くんの書いた「実録山田」という本が面白かったんですよ。普通エッセイって主語を“私は”で統一しているのに、突然対談が始まったり、視点がグチャグチャになったり……「この人、何言ってんの?」って(笑) でも、それが山田くんの1つの宇宙というか。山田くんって、もしかしたらそうした方が自分らしさが出るのかなって。作り方や語り口はフィクションで嘘っぽいのに、書いていることが本当っぽい。山田くんが自分の映画を作るなら、「実録山田」みたいなものだろうなと。で、今回映画化することになり、「絶対に3Dだ!」って思ったんです。山田くんがカメラ目線でしゃべって、背景に何か映像を合わせていくだけで映画になるんじゃないかと思ったんです。

山下:山田くんって、他の監督たちが撮る作品で見せる顔とか、JINTAKA(赤西仁とのユニット)で見せる顔とか色々な顔を持っていると思うんですが、総じて“山田シリーズ”なんですよね。「実録山田」もそうなのですが“何か”が出ているんですよ。(映画のポスターを見て)これをよく見てください。ふざけてません? これがムロツヨシさんならシャレになるのに、山田孝之がやることによって箔がつくというか、説得力が増すんです。完全にふざけているのに、山田くんがやると2周回って許せる。多分、半年後にこれを見ると「これすごいね(笑)」ってなるのに、なぜか今のこのタイミングだと通用する。それが“山田孝之の力”なんですよね。

松江:この前TOHOシネマズに行ったら、『昼顔』と『22年目の告白』の間に『山田孝之3D』のポスターが並んでいて、「す、すげえ!」ってなりました(笑)。

山下:やばいな! このデザイン、俺が小学校2、3年生だったらカッコ良いと思うけど、高学年になったらダッセーってなる(笑)

――(笑)山田さんだからこそ、この作品になったということですよね。

山下:その通りです。『北区赤羽』と『カンヌ』もそうですけど、ビートたけしさんクラスにならないと冠が付かないのに、山田くんだと今、この日本で冠が付く。それはもう、山田くんの中に無意識にあるフェロモンというか魅力、オーラなんですよね。僕自身、その魅力が何なのかまだ理解できていないんですけど……口が上手いわけでもないし、戦略家でもないのに、とにかく人を惹きつける魅力。フェロモンとか魅力、オーラって何かスピリチュアルな言葉とはまた違う例えがあるはずなんですけど……まだ僕にもわからない。ずっと考えながら作ってきた結果、こんな作品(映画)になっちゃいました。

松江:最初からこの映画を作ろうと考えていたわけではなく、“できちゃった映画”なんですよ。だって、最初に「こういう映画作りたいんですけど……」って言っても、お金が集まらないじゃないですか(笑) でも、出来上がってから、劇場によっては「この作品の巨大パネルを作りたい」と言う所もあって、「本気か!?」って驚いているところで(笑) 人を巻き込むって、こういうことだと思うんですよね。