【日本代表コラム】結果はドローも、新世代のプレーに見えた光明

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▽灼熱のピッチ、ケガ人に悩まされるスクランブル状態の中、日本代表はロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選のイラク代表戦に臨んだ。残り2試合の相手がオーストラリア代表(グループ3位)、サウジアラビア代表(グループ2位)ということを考えれば、勝ち点3を持ち帰りたかったはずだ。しかし、結果は1-1のドロー。最低限の勝ち点1を持ち帰るに留まった。

▽この試合に向けては、7日に行われたシリア代表とのキリンチャレンジカップ2017で左肩を脱臼したMF香川真司(ドルトムント/ドイツ)を始め、追加招集されたFW宇佐美貴史(アウグスブルク/ドイツ)が離脱。さらに、シリア戦で負傷したMF山口蛍(セレッソ大阪)が全体メニューをこなせないなど、ケガに悩まされた。

▽その結果、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は3月のUAE代表戦やシリア戦で試した[4-3-3]ではなく、[4-2-3-1]を採用。システムの変更だけでなく、ダブルボランチにMF遠藤航(浦和レッズ)、MF井手口陽介(ガンバ大阪)のリオ・デジャネイロ五輪コンビを起用。トップ下にFW原口元気(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)を配置し、右にFW本田圭佑(ミラン/イタリア)、左にFW久保裕也(ヘント/ベルギー)、1トップにFW大迫勇也(ケルン/ドイツ)を配置した。

▽厳しい環境に加え、新たな布陣を試した日本代表。試合中にも負傷者が続出するエクスキューズもあり、引き分けに終わったことは残念ではあるが、光明も見えたように思う。

◆本来のパフォーマンスを見せた昌子源

▽シリア戦では久々の代表戦、DF吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)との初コンビなど、イレギュラーな要素もあり不安定な立ち上がりとなったDF昌子源(鹿島アントラーズ)。しかし、イラク戦では鹿島で見せているパフォーマンスに近いものを発揮することができていた。

▽持ち味である一対一の強さは試合中に何度も見せ、ロングボールで裏を狙ってくるイラクに対し、しっかりと対応していた。また、同サイドのDF長友佑都(インテル/イタリア)や久保、そしてボランチの遠藤、井手口に対しても試合中に声をかけ、ポジショニングの修正を図っていた。まだまだ代表キャップは少ないものの、今回招集外となったDF森重真人(FC東京)のポジションを脅かす存在になることは間違いないだろう。センターバックの序列が変わる可能性を感じさせた。

◆ダブルボランチを務めた遠藤航&井手口陽介のリオコンビ

▽今回のメンバーには遠藤、井手口、さらにGK中村航輔(柏レイソル)、FW浅野拓磨(シュツットガルト/ドイツ)とリオ五輪メンバーが招集。また、同世代のDF三浦弦太(ガンバ大阪)も招集されており、新たな世代がA代表に関わるようになった。

▽遠藤は、2006年6月のキリンカップサッカーのボスニア・ヘルツェゴビナ代表戦以来1年ぶりの出場。井手口はシリア戦に続き出場となり、初先発を果たしたが、両選手が見せたパフォーマンスは結果以上にポジティブに捉えても良いだろう。

▽互いに守備を意識した入りとなり、遠藤は後方に構えてバランスを、井手口は豊富な運動量でボールを奪いにピッチを走り回った。序盤は2人のポジショニングが安定せず、バイタルエリアを空けてしまうシーンも見られたが、徐々にアジャスト。井手口が攻撃面でも良いプレーを見せ始めた矢先に、脳震とうで交代となってしまったことは残念だった。遠藤は失点シーンでパスを回されてしまった部分はあったものの、90分戦い切ったことは評価していいだろう。

▽チームの安定剤だったMF長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)がケガで戦列を離れ、2番手だった山口も負傷欠場。MF今野泰幸(ガンバ大阪)も負傷離脱から復帰したばかりと、ボランチのポジションが手薄となっていた。そんな中での2人のプレーぶりは、世代交代を含めてこの先の日本代表にとっては光明と言えるだろう。

◆2カ月半後の決戦へ
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▽昌子、遠藤、井手口と新たな世代に起用の目処が立ったものの、残り2戦は総力戦で臨むことが必須だ。2カ月半後ともなれば、選手の状態やパフォーマンスなどは全く想像できない。海外組は移籍している選手も居るだろうし、国内組でも海外移籍を実現させている選手がいるかもしれない。ケガから復帰する選手もいれば、ケガをしている選手がいるかもしれない。どんな状況が待っているかは分からないが、新たな選手が計算できることはプラスだ。あとはハリルホジッチ監督がどの様な判断を下すのか。オーストラリア戦までの選手の状態を把握し、ロシアW杯出場権を掴むためにもしっかりとした決断を下してもらいたい。

《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》