「お客様は神様です」は、歌手の三波春夫さんがオーディエンス(観客)に向けて言ったことから生まれた言葉。ところが、本来「観客」を意味した「お客様」が、言葉が広がるにつれて誤解されるようになり、今や他業界の「お客様」までもが含まれると認識されています。場合によっては、クレーマーの決まり文句として使われることも。「お客様は神様だろ!」と。

 本来の意味を考えればこの場合、「ではお聞きください」と答えて熱唱するのが正しいところですが、そんな”お客様”に関する調査をアメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.が世界9カ所の市場(日本、米国、カナダ、メキシコ、イタリア、英国、インド、香港、シンガポール)で9000人(日本人は内1000人)を対象に実施し、6月14日に発表しました。

 その結果、『日本人は、世界一「悪い顧客サービス」を受け入れない』ことが分かったそうです。

■日本では良いサービスが当たり前

 発表された「顧客サービスについての意識調査」によると、「企業の顧客サービスへの注力度合い」に関する質問では、「注力していると思う」と答えた人の割合は32%で、「良い顧客サービスの提供へのアプローチは変化していない」も32%と、他の地域とさほど変わらない結果。一方で「気を配っていない」の回答は14%と9市場中で最も低く、日本における企業の顧客サービスへの注力度はある程度認められているようです。

 しかしここからがシビアな点で、顧客サービスへの感想では、日本は「期待を上回る顧客サービスを受けている」(4%)と、「期待通りの顧客サービスを受けている」(41%)を合わせた割合が45%と半数を割り、9市場中で群を抜いて低い結果。他の回答は「期待を下回る」(22%)、「分からない」(33%)で、他と比べて「分からない」を選択した人は9市場中最も多い結果になっています。顧客サービスへの注力には一定の評価をしている点を考えますと、どうやらそれが当たり前になり評価が難しくなっているようですね。

 なお、他8市場では、米国81%を筆頭に、「期待を上回る/期待通りのサービスを受けている」と回答した割合が60〜81%と、好意的感想が多くなっています。

■酷いサービスは一度で即NG

 他にもこんな質問がされています。「購入先の変更を検討する前に、何回までならひどい顧客サービスを我慢できるか」。

 これについては「一度でもひどい顧客サービスを受けたら直ちに別の会社に替える」の回答が、日本のみ割合が56%と過半数を占め9市場中、突出して高い結果。日本を除く8市場では 23〜37%となり、大半の人が「2回か、それ以上我慢できる」と回答しています。

 なお、この調査の昨年度では、同じ質問への回答が48%。つまり一年間で約8%の伸びを示しており、日本人の顧客サービス感覚が、よりシビアになっているようすがうかがえます。

 一年間で約8%の伸びには少し驚きますが、このところネットなどで「不寛容社会」と叫ばれることがあり、「他人のミスはたった一つも許さない!」そうした風潮の現れと思えば頷ける点ではないでしょうか。

 クレームは企業を成長させると言いますが、昨今はSNSの影響もあり、ほんのわずかなミスでも社会全体で共有されることは珍しくありません。そうした上で今回の結果を見るに、お客様の立場は恐ろしいほど強くなっているのかもしれません。

<参考>
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.発表資料
三波春夫オフィシャルサイト『「お客様は神様です」について』

(宮崎美和子)