カタールのドーハにあるハマド国際空港で6月11日、フライト情報を掲示する電光掲示板と通行人(KARIM JAAFAR/AFP/Getty Images)

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 ペルシャ湾産油国のカタールは現在、外交危機に陥っている。サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)など5カ国はこのほど、カタールが「テロ支援」として、カタールとの国交関係を断絶すると表明した。中国当局が提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」沿いの重要地域である中東情勢の不安定は、同政策のリスクを浮き彫りにした。

カタールと中国の関係

 カタールが過去政治的に安定し、投資環境も良好だったため、中国当局は金融と交通の面で中東地域へと勢力拡大していく中での重要な玄関口と見なした。

 交通の面では、世界航空会社ランキングで1位を獲得したことのあるカタール航空は、中国北京、上海など7都市との直行便を就航している。サウジアラビアなどとの断交で、カタール航空が他国への航空便の運航が中止され、中国人乗客がカタールで「新シルクロード」の他の国に乗り継ぐことができない。このため、中国当局にとって、カタールの一帯一路の「玄関口」機能は果たすことができなくなる可能性が高まってきた。

 また金融の面では、カタールは近年「東を見よう(Look East)」との政策の下で、現在の首長タミーム・ビン・ハマド・アール=サーニーが2014年11月中国を訪問した際、カタールと中国は戦略的パートナーシップを構築すると共同発表した。当時、両国は350億元規模の人民元通貨スワップ協定を締結したほかに、中国4大国有銀行の一つ、中国工商銀行のカタール・ドーハにある支店で人民元決済業務も直ちに始められた。

 カタール政府系投資ファンドである「カタール投資庁」はすでに中国著名企業、「アリババ集団」、「中国工商銀行」、「中国農業銀行」などに投資し始めた。

 資産規模1700億ドルのカタール投資庁が14年に中国金融大手の中信集団と署名した覚書によると、双方がそれぞれ50%を出資し、100億ドル規模の地域投資ファンドを設立していく計画がある。

 カタールは中国当局が提唱する一帯一路構想を最も早く支持を示した国の一つで、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)にも早く加入した。カタールと中国当局は、一帯一路をめぐって協力備忘録も締結している。

2016年5月、カタールのドーハを訪問した王毅・中国外交部長(外相、右から2番目)と中国訪問団(STR/AFP/Getty Images)
 

断交で中国当局にも影響

 カタールは近年中国当局と協力関係強化で、中東諸国との断交は中国当局にも、経済的かつ政治的な影響を受けている。

 今回中東情勢の不穏はペルシャ湾岸地域において、数十年以来最も深刻な外交的対立だ。

 一部のメディアは、中東諸国がカタールとの断交を通じて、中国当局は今後の戦略を見直す可能性が高いと指摘した。つまり、政治的に安定していると見える「小さい国」であるカタールで、影響力を拡大していく戦略を立てても、必ずイスラム世界の政情リスクに直面することと、一帯一路の実現は思ったより容易なことではないということは、中国当局の課題になる。

 実際、今回断交に関わったすべての国は中国と密接な経済・貿易関係がある。サウジアラビアは中国の最大な石油供給国。カタールは中国の第3大液化天然ガス(LNG)供給国。

 2016年1月、中国は湾岸協力会議(Gulf Coorperation Council、GCC)との間で、自由貿易区交渉を6年ぶりに再開した。GCC加盟国は、サウジアラビア、クウェート、UAE、バーレーン、オマーンとカタールの6カ国。断交でこの交渉も再び中止せざるを得ないだろう。

 また、今回の外交的対立に関係する中東大国のイランも中国当局にとって重要な原油供給国で、一帯一路沿いの国でもある。

 しかし、サウジアラビアなどの国がカタールに国交断絶を宣言した2日後の7日にも、過激派組織「イスラム国(IS)」は犯行を主張する同時多発テロ事件がイランで発生し、12人も死亡した。翌8日、ISは、イランと中国に挟まれた隣国パキスタンで拉致したという中国語教師だった中国人2人を殺害したとする犯行声明を出した。これらは、中東地域に潜在するテロ脅威を示している。

(つづく)

(翻訳編集・張哲)