【コラム】中盤に新たな可能性…井手口、原口、遠藤の新トライアングルが見せた収穫

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 2018年ロシア・ワールドカップ出場獲得をより確実にするために、13日のイラク戦(テヘラン)で勝ち点3を持ち帰りたかった日本。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は長谷部誠(フランクフルト)、香川真司(ドルトムント)らをケガで欠いた中盤をどうするか頭を悩ませてきたが、今回は7日のシリア戦(東京)で採った4−3−3ではなく、4−2−3−1の布陣を採用。ダブルボランチに遠藤航(浦和レッズ)と井手口陽介(ガンバ大阪)のリオデジャネイロ五輪コンビを抜擢し、トップ下に原口元気(ヘルタ・ベルリン)を置くという思い切った采配に打って出た。

 遠藤は2015年11月の2次予選・カンボジア戦(プノンペン)以来のボランチ先発。井手口は代表初スタメンで、原口も代表でのトップ下はほぼ初めてということで、3人がうまく機能するかどうかは大いに注目される点だった。

「(ハルリホジッチ)監督からは相手の10番(アブドゥルサブラ)を自分が見て、元気君と陽介が見るという指示があった。自分も下がりすぎるのはよくなかったので、バランスを見つつ、(マークを)センターバックに渡せる時は渡して前に出る意識を持ってやりました」と遠藤が言うように、序盤の彼らは比較的いい距離感を保ちながら、攻守両面に関わろうとしていた。開始8分に1トップ・大迫勇也(ケルン)が先制点を挙げ、チームがいち早くリードしたことも追い風になったが、原口の機動力、遠藤のバランス感覚とタテへの展開力、井手口のボール奪取力がうまく噛み合いつつあったのは確かだ。

 しかしながら、「点を取った後、チーム全体の重心がちょっと後ろに下がりすぎた」と大迫が指摘した通り、遠藤と井手口が徐々に下がり始め、低い位置を取るようになってしまう。「前半はブロックを敷いて守る時間帯が多くて、自分たちであまりボールを動かせず、タメができないところがあった」と遠藤も反省の弁を口にした。原口は大迫と2トップ気味になって前からアグレッシブな守備を見せていたから、トップ下とボランチの間にポッカリが空き、そこを相手に使われるケースも増えてきた。

 3月のタイ戦(埼玉)でも急造ボランチの山口蛍(セレッソ大阪)と酒井高徳(ハンブルガーSV)が攻撃面で停滞し、香川との間が開いて中盤が分断されるような状態が生まれたが、今回も似たような問題点に直面することになった。前半は相手のミスにも助けられ、何とか無失点に抑えたものの、そこは今後に向けての1つの課題と言っていい。

 1−0のまま後半に入ると、新中盤トリオは気持ちを切り替え、再びアグレッシブさを取り戻す。開始早々の48分には原口とのワンツーから井手口が前線に飛び出し、続く51分には井手口→遠藤→久保裕也(ヘント)というリオ世代トリオの連携からチャンスを作り出し、中盤が一気に活性化しそうな予感を漂わせた。

 そんな後半の58分、井手口が足を滑らせて転倒し、ピッチに後頭部を打ち付けてしまい、脳震盪の疑いでプレー続行が不可能になってしまう。彼の持ち味である寄せの激しさ、球際の強さが前面に出るようになった矢先のアクシデントで、日本のシナリオは微妙に狂った。

 代役には今野泰幸(G大阪)が入り、遠藤は「今野さんもボールを奪うタイプなので違和感なくやれた」と言う。ただ、この時間帯あたりから猛暑・乾燥・高地という過酷な条件の影響がじわじわと出始め、日本は足が止まり始める。ペースダウンは明らかだった。

 指揮官は「元気は疲れていた」と判断し原口と倉田秋(G大阪)を交代。中盤が遠藤・今野・倉田という組み合わせになったのを機にリズムの変化が期待された。だが、直後に久保の足にトラブルが発生。酒井宏樹(マルセイユ)の右ひざ負傷が悪化し、吉田麻也(サウサンプトン)と川島永嗣(メス)が連携ミスを犯すという信じがたいトラブルが重なった。日本は結果的に与えてはいけない1点を献上。そのまま失速する形で、彼らは勝てる試合を引き分けることになった。