フェイスブックには、新聞社などのメディアが自社のニュース記事を配信できるようにする「インスタント記事(Instant Articles)」というサービスがあるが、このほど同社は、これに、有料サブスクリプション(定期購読)サービスを導入することを検討していると、複数の米メディアが伝えている。

[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]

ニュースフィードに有料コンテンツ

 このニュースを最初に報じた米ウォールストリート・ジャーナルによると、現在同社はメディア企業と協議中で、どのような課金形態にするのか、利用者から得る収益は、どのようにメディアと分配するのか、といったことを検討している。

 例えば、フェイスブックは、利用者がモバイルアプリ上で一定の記事を無料で読み、さらに多くの記事を読みたい人に課金するという、メーター制課金の仕組みを考えている。また、フェイスブックが決済情報を管理するものの、収益はすべてメディアが得る、という形態も検討されていると、事情に詳しい関係者は話している。

 そもそもフェイスブックがこうしたことをメディアと話し合っている背景には、メディア側の不満があると言われている。

 フェイスブックにとって、インスタント記事のメリットは、利用者の近況などが表示されるニュースフィード画面におけるコンテンツの拡充と、利用者滞在時間の拡大だ。

インスタント記事は不公平なサービス?

 ここでは、大手メディアのニュースが配信され、利用者は記事全文を読むことができる。フェイスブックは、このインスタント記事の目的について、「モバイル端末における表示の迅速化で、利用者の利便性を高める」と説明しているが、結局のところ、我々のコンテンツを使って、利用者の囲い込みを狙っていると、メディア側から不満の声が上がっていた。

 メディア側は、利用者を自社サイトに誘導し、そこで何本かの記事を読んでもらい、その後有料サービスにつなげたいと考えている。フェイスブックもインスタント記事の導入前は、そうした仕組みを検討していたというが、結局は利用者の利便性向上につながらないという理由で、その案を見送った。

 一方、メディアは、インスタント記事に広告を掲載できるが、フェイスブックはその掲載数に制限を設けている。このため、メディアは自社サイトで得られるような広告収入をインスタント記事から得られていない。

 米市場調査会社eマーケターによると、米国のインターネット広告市場では、米グーグルとフェイスブックが、市場全体の収入の60%を得ているという状況。

(参考・関連記事)「米ネット広告市場、今年は16%増の9.5兆円規模に」

 こうしたことも、メディア企業に不満が募る原因だという。そしてメディア側は最近、米グーグルや米アップルといったフェイスブックと競合する企業のサービスにニュースを配信するといった道を模索している。

 ウォールストリート・ジャーナルは、メディアの不満や競合サービスの存在が、フェイスブックにサービス内容を再検討させるきっかけとなったと、伝えている。

年内にサービス開始か

 フェイスブックはすでに、インスタント記事に掲載される広告数に関する制限を一部緩和している。また、フェイスブックの幹部は、有料サブスクリプションサービスの導入をこれまで以上に真剣に考えるようになっているという。

 この協議がまとまれば、年末までにフェイスブックのモバイルアプリで、有料ニュース配信が始まることになると、事情に詳しい関係者は話している。

筆者:小久保 重信