先発布陣を大きく変えたハリルホジッチ監督。イラク戦では勝点1を得るにとどまった。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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 ワールドカップ・アジア最終予選のイラク戦で、日本は“なんとか”1-1で引き分けることができた。最後の最後で本田に決定機があったけど、同点に追いつかれた後は、本当にゴールが遠くて、まずは負けなくて良かったと言える内容だったよ。
 
 日本は先に1点を取ったはずなのに、先制した後はいくつかのチャンスをフイにすると、1点リードしていることをまるで忘れてしまったかのようなサッカーに終始してしまった過酷な暑さや高地でのゲームという厳しい条件があったにせよ、日本は守りに入るようなプレーが多かった。とりわけ攻撃面では中盤から前線になかなか効果的なボールが入らなくて、イライラするような展開が続いていた。
 
 こういうサッカーになってしまった最大の原因は、やはり監督の選手起用にあったんじゃないかと思っている。シリア戦で不運にも香川が負傷離脱してしまったけれど、その穴を補うためにすごくチーム編成をいじってしまったよね。スタメンの顔ぶれといい、システムまでも3月に2連勝した時のアンカーを置いた4-3-3からダブルボランチの4-2-3-1へと変えてしまった。
 
 イラク戦ではA代表2試合目の井手口をボランチとして先発に抜擢し、そのパートナーには久々にボランチで出場する遠藤が起用された。果たして、この組み合わせはベストな選択だったのか? 正直、疑問に思わざるを得ないよ。結果次第ではオーストラリア戦で断然優位に立てる大事なゲームなのに、中盤の最も軸になるべきところを経験の浅いふたりに任せて良かったのか。結局、井手口にアクシデントがあったとはいえ、61分からは今野を起用している。なんで最初から経験豊富な選手を使わなかったのか理解に苦しむよ。
 
 遠藤も井手口も要所では身体を張って、体格のいいイラクの選手相手にも健闘していたようには見える。でも、ボールを奪ってから素早く前線につなぐという点ではもたつく場面が目についたし、それによってイラクにひと息つく余裕を与えてしまった。前半の途中からは、相手のリズムでサッカーをやっていた気がするね。
 
 ボランチのところだけが問題だったわけじゃない。前線でも右サイドに本田を先発起用して、ここのところ右サイドで好調だった久保を左に持っていき、左サイドだった原口をトップ下に置いた……。
 
 いろんなエリアで玉突き的にポジションが変更されている。こうなっては、いつもとだいぶピッチ内の雰囲気が変わるだろうし、リズムを生み出しにくくなるのも当然だ。隣にいる人間が変われば、アイコンタクトの取り方ひとつをとっても勝手が違ってくるものだ。
 
 日本は、わざわざ自分たちでちぐはぐな戦い方を選んでしまったように感じるよ。自分たちの良い部分を自ら手放して、本当の意味でアウェーのサッカーを展開してしまったんだ。その結果、いろんなところで無理が生じてミスやバランスの悪さにつながり、後追いになる展開も増えた。体力的なロスから足を攣る選手の続出につながったのも頷けるよ。
 
 とにかく日本の選手たちからは、どんなサッカーがしたいのかが伝わってこなかった。開始早々にゴールが生まれたのなら、もっとイラクを圧倒するような自信満々のプレーを見せて相手を疲労困憊させる展開に持ち込みたかった。しかし、現実は日本の方が苦しむことになってしまった。
 
 そんななかで先制点を奪った大迫は90分を通じていい働きを見せていた。ゴールはもとより、ポストプレーでも当たり負けしない強さは、さすがドイツで鍛えられたものだと思う。この大迫をはじめ、欧州組はひと休みして再びシーズンに突入しているから、8月31日に行なわれる次節のオーストラリア戦には、イラク戦よりも良い状態で試合に臨めると信じたい。
 
 次は、いよいよワールドカップ出場に王手が懸かった試合だ。精神的にもタフな戦いになるのは間違いない。だからこそ、日本代表には自分たちの武器や長所をもう一度確認して、自信を持って勝負の一戦に臨んでほしい。そして6大会連続のワールドカップ出場をホームで決めてほしいね。