Xiaomi、Huawei、OPPO、Vivo、Lenovo、OnePlus、Meizu、ZTE――これらのベンダーのどれかは、中国人でなくとも、少しスマートフォンに関心のある日本人であれば、一度は耳にしたことがあるでしょう。それでは、Transsionは?中国人ですら聞いたことのないベンダーが今、アフリカでシェア1位の座を獲得しています。

アフリカのユーザーにスポットライトを当てたスマホはなかった

「我々は自分たちが持っていたものを(アフリカへ)持ち込みたくはなかった」。そう語るのは、Transsionの副社長であるアリフ・チョードゥリー氏です。「企業が成功するためには、人々が望むものを見つける必要がある。アフリカのユーザーが望んでいるのは自撮り、複数のSIMスロット、現地の言語対応、安定した音楽機能、そして長いバッテリー駆動時間だ」
 
例えば自撮り機能を例にとると、わざわざアフリカ人の黒い肌のトーンにあうよう、カメラ機能やハイライト効果が特殊な設定となっています。もちろん、Transsionが抱える200名以上の技術者によって開発されたものです。
 

Transsionのスマートフォン「Infinix S2」。1,300万画素のメインカメラに加え、自撮り向けに135度のワイドアングルをカバーした800万画素のインカメラがウリだ


 
白人や黄色人種にとっては思いもよりませんが、アフリカ系のユーザーは自撮りをする際、黒い肌の色調整がうまくいかないことに大きな不満を抱えていたそうです。これを解決したのが、Transsionの特殊なアルゴリズムを搭載したカメラでした。

今のうちにブランド力をより強固なものにしておきたい

アフリカでのTranssionのシェアは、2017年の第1四半期時点でSamsungやHuaweiを抑えて40%を超えています。また、2016年の出荷台数7,991万台は、10年前の80倍に上る数字です。ユーザーはアフリカだけで1億人以上、工場からは1日30万台が出荷されます。
 

円グラフ6個のうち、下段中央が中東&アフリカのベンダー別シェア。このうちの青い部分がTranssionで44.0%(2016年第3四半期)を占める


 
チョードゥリー氏が言うとおり、Transsionが成功した秘訣は、アフリカ人の心を掴んだことにあります。しかし、「我々の成功は、数年前の中国でいうNokiaのようなものだ」と、同氏は今が一介のブームに過ぎないと言わんばかりの謙虚な姿勢も忘れません。
 
確かに、技術力ではHuaweiやインドでシェア2位に輝くXiaomiといったベンダーの方が上回っているはずですし、OPPOもインカメラの「自撮り力」には定評があります。彼らが一気に押し寄せて来れば、Transsionが同じ勢いを保っていられるかは、かなり疑問です。
 
いかに独自のブランド力を維持しつつ、矢継ぎ早に高性能のスマートフォンを主要ユーザーに提供していくことができるか――他の中国ベンダーが本腰を入れてアフリカへ上陸してきたとき、果たしてTranssionは今の地位を維持していられるのかどうかは、まさに同社のこれまでではなく、これからに懸かっていると言えるでしょう。
 
 
Source:THE AUSTRALIAN,CHINADAILY,IF/News
(kihachi)