富士ゼロックスの不正会計によ損失は375億円にのぼるという。(c) 123rf

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 富士フイルムホールディングスは12日、傘下の富士ゼロックスにて、ニュージーランドとオーストラリアの子会社で不適切会計が発覚したとして、富士ゼロックスの山本忠人会長を解任することを柱とする統治体制の強化策を発表した。

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 デジャヴである。海外子会社を巡る不祥事は東芝や日本郵政でも多額の損失が表面化したばかりでとどまるところを知らない。

 もちろんその不祥事の中身はそれぞれ固有の特徴がある。今回の富士ゼロックスについては、営業成績に大きく連動する報酬システムを悪用するため、販売子会社の外国人幹部らが売り上げの架空計上を行い多額の報酬を受けたというもの。

 1990年に米ゼロックスから買収したニュージーランドの子会社は、買収から四半世紀も経過しているにかかわらず、適切な管理が行われずにあなた任せのまま放置されて来たのだという。

 当該子会社にとっては目障りな日本人の幹部がおらず、営業の基盤は米ゼロックスを引き継いでいるため安定していた中で、まさにやりたい放題の環境だったのだろう。これは最早、犯罪であり直接の当事者が責めを負うのは当然であるが、より重要なのは富士ゼロックスの幹部が事態を把握していたにもかかわらず、隠蔽を図ってきたと伝えられていることである。

 日本企業がM&Aで海外企業を傘下にしても、目論見が実現された割合は30〜50%程度との分析報告もあり、半数以上は「失敗」と判定されているのが現実である。

 時に“忖度”が幅を利かせる日本流の社内管理に対して、情状なく合理的に割り切る欧米流の管理体制とでは相容れない部分が多い。それに加えて言葉の問題が大きいのではないだろうか?富士ゼロックスは富士フイルムHDの利益の50%近くを稼ぎ出す稼ぎ頭であり、独立意識が強く、富士フイルムHDの助野社長ですら「富士ゼロックスへの遠慮があった」と語る状態であったという。

 そんな我儘な環境にある富士ゼロックスの役職員がニュージーランドの子会社への人材を出し渋り、親会社を蔑ろにすることはガバナンス上の大問題で、それを黙認してきた親会社の責任は誠に重いものがある。せめてこの事例が教訓となって、他の企業でもM&Aで傘下にした海外子会社の実態見直しが進むことを切に望む。