この原稿はイラク戦を前に書いているので、その視聴率がどれほどだったか知る由もないが、前戦のシリア戦(1−1)は13.6%(瞬間最大視聴率は20.1%)だったと聞く。一頃に比べれば、ずいぶん落ちる。2018年W杯予選は佳境も佳境。これからイラク戦以降の3試合は伸るか反るかの大一番になるが、楽観報道も後押しするのか、接戦だというのに、盛り上がっている様子を感じ取ることが出来ずにいる。

 サッカー人気危うしと言うべきか。少なくとも、日本代表のサッカーが世の中に、強いものとしてはもちろん、面白いものとして認知されていないことは確かだ。

 単純に見ていて面白いか、つまらないかと言えば、かつてと比較すれば後者だ。勝っても負けても、以前ならパスはもう少しよく回った。支配率も高く、見栄えもよかった。2011年アジアカップ(カタール)でのシリア戦と比較すれば明らか。スコアは2−1。接戦だったが、内容では大きく上回っていた。格上感を発揮できていた。一方、今回の1−1は、ホーム戦。実力的にも大きな開きがあるのに、不運に恵まれ引き分けてしまったと言うわけではない。華もなければ、強さもない。視聴率が振るわない大きな原因と思われる。

 日本代表史を振り返れば、2002年日韓共催W杯で、1ランク上昇。2010年南アW杯でもう1ランク上昇した。その後、ザッケローニ、アギーレ、ハリルホジッチと監督が変わったが、もう1ランク上昇したという感触を掴めずにいる。停滞期にあると言っていい。

 原因は、監督にあるのか。選手にあるのか。さらに言えば、協会にあるのか。ファン、メディア、Jリーグのレベル等々、関係する要素はこの他にもあるが、選手3、監督3、協会2、その他2が、代表チームのレベルを決定する要素の内訳になる。

 まず選手に目を向ければ、2010年以降に出現し、不動のレギュラーになった選手はと言えば、岡田ジャパン時代に代表選手として出場経験がある香川を除くと、せいぜい吉田麻也1人だ。大物は出現していない。
 
 あるテレビ評論家は、海外組が増えたことを隔世の感だと言って目を細めたが、バロメーターとなるチャンピオンズリーガーの数(過去3年で言えば14−15=3人、15−16=0人、16−17=3人)を見れば、暢気な評論だと言いたくなる。

 16−17のCLには、73か国、698人の選手が出場した。フランス人の75人を筆頭に、スペイン人67、ブラジル人64、ドイツ人61、ポルトガル人42、イングランド人33、オランダ人28……と続く。日本の3人が、いかに寂しい数字か、ご理解いただけるだろう。これでもなお、隔世の感だと感嘆するつもりなのか。

 選手の成長に最も大きな影響を与えるのは指導者だ。監督、コーチを含めた育成の環境こそが成長の決定打になる。ハリルホジッチの指導法も問題といえば問題だ。変に縦に速いサッカーを要求したことで、アギーレ時代に存在した展開美は、すっかりどこかに消えた。ハリルホジッチの好みと日本のサッカーはマッチしていなかった。いつまで経っても、開花しないサッカーを見せられると、そんな印象を受ける。

 だが、現代表が伸び悩む理由が、ハリルホジッチだけにあるとは思えない。選手の成長に大きな影響を及ぼすのは、育成の指導者だろう。

 韓国で行われたU−20W杯。内山篤監督は、そのグループリーグの最終戦(対イタリア戦)で、メンバーを結局1人も交代しなかった。負ければ16強入りを逃す大一番。とはいえ、将来誰が伸びるか定かではない育成年代のチームだ。交代の必要性はA代表より遙かに高い。

 ほぼ同じ時期に、トゥーロン国際大会に出場していたU−19チームの影山雅永監督はテレビのインタビューにこう答えていた。「勝利と育成とどちらに重きを置くかとは、よく聞かれることですが、両方です。同時に追究しながら成長していくべきものだ」と。しかし、U−20の内山監督は、勝利をいの一番に選択した。メンバー交代ゼロ。これは選手の育成より、保身を優先した采配と言われても仕方がない育成の指導者にとって致命的なエラーになる。