可愛いケープをナースが手作り(画像は『Montreal Gazette 2017年6月2日付「Montreal nurse makes tiny Superman capes for intensive care babies」(ALLEN MCINNIS / MONTREAL GAZETTE)』のスクリーンショット)

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生まれてすぐに新生児特定集中治療室(NICU)に入れられた我が子を見て、不安にならない親はいないだろう。このほど8週早く産まれた息子をNICUに預けなければならなかった両親は、ある新米看護師による思いやりに涙した。『Montreal Gazette』や『CTV News』など複数メディアが伝えた。

カナダのケベック州モントリオールにあるジューイッシュ・ジェネラル病院で3月10日、ミッシェル・キャンベルさんとクリス・コレスさんにとって第1子となるベンジャミン君が誕生した。出産予定日より8週も早く生まれたベンジャミン君は体重が2000グラムもなかったことから、すぐにNICUに搬送された。

出産後、息子と一緒に自宅に帰ることができず感情的にも不安定になっていたミッシェルさんだったが、ある日クリスさんと一緒にベンジャミン君を訪ねた時、保育器のそばにある点滴用のポールに小さなスーパーマンのケープがかけられていることに気付いた。

そのケープにはスーパーマンのイニシャル「S」の代わりにベンジャミン君の「B」が縫い付けられてあり、「私たちの小さなスーパーヒーローへ。愛を込めて。ステファニー・Tより」というメモ書きが添えられてあった。

実はこの小さなスーパーヒーローのケープは、看護学校を卒業したばかりの新米看護師ステファニー・トレハーンさんが手縫いで作ったものだった。ステファニーさんはベンジャミン君の担当ではなく、ミッシェルさんやクリスさんとも面識がない。しかしNICUにいる赤ちゃん全員の名前のリストを持っており、これまで100点のケープを手作りしたという。

ステファニーさんは、ケープを作ろうと思い立った理由をこのように語っている。

「産まれたばかりの自分の子がNICUに入れられているという現実に、両親は不安と恐怖を抱えていると思うんです。そんな親御さんたちに『あなたの赤ちゃんはこんなにも強く、一生懸命頑張っているんですよ』という安心感を与えてあげられればと思いました。どの赤ちゃんたちも本当にスーパーヒーローのようです。それに私自身、仕事で辛いことや嫌なことがあってもケープ作りをすることで『私がNICUでしている仕事はとても特別なんだ』と再認識することができますから。」

ステファニーさんの思いやりに涙したミッシェルさんは「NICUではブザーがなったりたくさんの医療機器やチューブがあって、短時間であってもストレスを感じます。ちょっとしたことがきっかけで赤ちゃんの容体が悪化することもあり得るわけですし、そんな状況で看護師がこんなふうに温かい思いやりを見せてくれると、私たち親も希望を与えられた気がしました」と話している。

ベンジャミン君は早産だったものの、健康状態が良好であったため「息子はラッキーだったと思う」とミッシェルさんは言うが、NICUには退院できる日まで長い道のりを乗り越えなければならない赤ちゃんも少なくない。同僚さえも気付かなかったステファニーさんの優しい行為について、看護師長のライン・シャルボノーさんはこのように述べた。

「ステファニーさんの行為は、ただ親切というだけではありません。赤ちゃんの親御さんたちに安心感を与え、彼らが赤ちゃんのそばにいない時でも私たちがいつも注意して見ているのだということを伝えたのです。新米の看護師が進んでこのような行為をしたことにはとても感心させられます。」

NICUで3週間過ごしたベンジャミン君は、その後無事に退院した。現在は体重が4.9kgにまで増えたそうで、ステファニーさんの手作りのケープは自宅のベンジャミン君の部屋に“一生の記念”として大切に飾られているという。

画像は『Montreal Gazette 2017年6月2日付「Montreal nurse makes tiny Superman capes for intensive care babies」(ALLEN MCINNIS / MONTREAL GAZETTE)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)