内閣府は6月13日、2017年版の「子供・若者白書」を発表した。いじめの認知件数が増加を続けるだけでなく、ニートの数も4年ぶりに増加に転じるなど、若者を取り巻く厳しい状況が浮き彫りとなった。

中学校の不登校は増加傾向、小学校でも約3万人が学校に行けず

いじめの認知件数は2010年代に入ってから増加を続けており、2015年には約22万5000件に上った。学年別では中学1年生が最も多かった。いじめの原因や動機として最も多いのは「力が弱い・無抵抗」で、「いい子ぶる・なまいき」、「態度動作が鈍い」がそれに続いた。

15〜39歳で働いていない人の数は、2012年以降減少していたが、2016年に増加に転じ、約77万人に上った。15〜39歳人口に占める無業者の割合は、男性で2.8%、女性で1.6%だった。

働く意欲があるのに、仕事を探していない理由としては、「病気・けが」と答えた人が最も多かった。それ以外には、

「学校以外で進学や資格取得などの勉強をしている」
「探したが見つからなかった」「知識・能力に自信がない」

を挙げる人が多かった。

中学校で不登校の生徒の数は、2012年以降増加傾向にあり、2015年には2.83%、約10万人が不登校だった。小学校での不登校は1992年以降、微増が続いている。2015年には0.42%で約3万人弱が小学校に行けていない。高校で不登校の生徒は減っており、1.49%約5万人。高校を中退する生徒も減少を続けている。

自殺者数自体は減少傾向にある。しかし20〜24歳では死因の50.1%、25〜29歳では47.2%が自殺で、不慮の事故や病気を大幅に上回っている。最も多い自殺の原因は「うつ」だが、10代では「学業不振」や「進路の悩み」も多い。20代では、「就職失敗」や「家族問題」も原因になっている。

ひとり親世帯の大学進学率は24%に留まる

2016年に30歳未満で、覚せい剤で検挙された人は1423人、大麻で検挙された人の数は1198人だった。また危険ドラッグ乱用者のうち30歳未満は約2割を占めている。

ひとり親家庭の割合は増加傾向にあり、2015年には7.3%だった。夫婦と子どものみの世帯では、平均年収が726.4万円なのに対して、ひとり親と子どものみの世帯では275.0万円にすぎない。そうした厳しい生活状況もあり、ひとり親家庭では進学率が低い。全体の大学進学率は54.7%だが、ひとり親家庭では23.9%に留まっている。

児童買春の被害にあった20歳未満の若者の数は、2002年以降大幅に減少している。一方、児童ポルノの被害者は増加の一途をたどり、2015年には1000人に迫る勢いだった。男児の被害者はおよそ2000人、女児は5000人にも上った。

出会い系サイトを通して被害にあう子どもの数は2006年以降、大幅に減少しているがコミュニティサイトでの被害者数は増加している。コミュニティサイトでは、出会い系よりも低年齢の子どもが被害にあう傾向があり、対策が急がれる。