<人に称賛されることを必要としているアメリカ大統領は、「思ってもない褒め言葉」でもご満悦。驚くのは、テレビカメラも回る前で、閣僚全員が真顔で褒めきったことだ>

昨日、ホワイトハウスで開かれたトランプ政権の初閣議では、テーブルを囲んだ閣僚たちが一人ずつ、アメリカを再び偉大にすると豪語する暴君ドナルド・トランプ大統領を、まるで踏み絵のように、居並ぶ記者やカメラの前で、べた褒めさせられる異様なものだった。まるで旧ソ連のスターリン時代だ。なにより驚きだったのは、全員が真顔でやり切ったこと。その光景がどれほど異常か、当人たちが気づかなかったはずはないのだが。

(トランプ政権の初閣議。政権はこれまで歴史的な成功を収めている、とトランプ)


終始ご満悦だったのはトランプ一人。トランプは、閣議の冒頭を自分が大好きなこと──自画自賛──から始めた。「大恐慌への対処に追われたフランクリン・ルーズベルト大統領など少数の例外を除き、かつてこれほど多くの法案を通過させ、多くのことを成し遂げた大統領はいなかった」と、トランプは切り出した。その後一人ずつ指名された閣僚は、トランプを褒めるしかなくなった。

(米閣僚全員が一人ひとりトランプを礼讃する模様を映した11分の動画)


忠誠心が好きなトランプ

政治部の記者や専門家がすぐさま指摘した通り、トランプの発言は事実ではない。それにも関らず閣僚が次々とトランプを称賛した。政権発足から半年も経たないのに、まるで任期終了直前に成果をねぎらい合う最後の閣議のようだった。いくらメディア向けの見世物だといっても、現代アメリカ史で、今回ほど大統領へのおべっかで埋めつくされた閣議は例がない。

米CNNのコメンテーター、クリス・シリザは「史上最も醜悪な閣議」と酷評し、そのコメントはすぐさまソーシャルメディアに拡散した。知っての通り、トランプは忠誠心が大好きだ。だが、閣僚が一人残らずメディアの前で忠誠を誓う様子には、心底あきれかえった。スターリン主義を風刺した喜劇でも見ているようだ。

【参考記事】米政権幹部に襲いかかる、トランプの執拗な怒りの病

ただしこれは喜劇でなく、現在のアメリカ政治のリーダーシップそのものだ。

トランプ礼賛の口火を切ったのは、マイク・ペンス米副大統領だ。トランプと一緒に仕事ができることは「人生最大の名誉」だと言った。他の多くの閣僚もトランプに奉仕することの「名誉」や「誇り」を連発した。

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アレクサンダー・ナザリアン