(写真提供=FA photos、韓国を訪れたFIFAインファンティノ会長)

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去る6月12日、韓国の文在寅大統領が国際サッカー連盟(FIFA)ジャンニ・インファンティーノ会長にとんでもない提案をした。

2030年のサッカーW杯を日本、中国、韓国、北朝鮮の4カ国で開催する意向を示したのである。

そもそもこの構想は今年3月から韓国サッカー協会チョン・モンギュ会長が提示していたものであったが、韓国とFIFAそれぞれのトップが直接意見を交わしたことを受け、韓国メディアも大きく報じている。

「サッカーを通じた平和政策」

『東亜日報』は「2030W杯、南・北・中・日で共同開催を」と見出しを打ち、文大統領の発言に着目して報じている。

記事では、「南北を含めた北東アジア周辺国とW杯を共同開催すれば平和の醸成において力になると考えている」「2030年W杯がそのような機会になることを願う」といった文大統領の発言を紹介。

6月8日に文大統領が国家安全保障会議(NSC)で「北の核問題を解決する独創的な法案が重要だ」と話したことを振り返りながら、北東アジアの平和醸成における共同開催の意義を強調した。

「文在寅大統領、2030年韓中日北W杯共同開催プランに肯定的」とヘッドラインを置き、FIFAインファンティノ会長の反応にフォーカスしたのは『時事ウィーク』だ。

「現実的に困難があるだろうが、努力することが重要だ」「中国、日本など隣国とも議論したのかまだわからないが必要であればサッカーを通じて手助けしたい」というインファンティノ会長のコメントを取り上げた。

また「2030年アジア誘致は簡単ではない。しかし、北東アジアの緊張が高まる状況で、サッカーを通じた平和政策であるという大義名分を押し出せば不可能はない」とも綴っている。

日中の意向

その一方で、『聯合ニュース』は「2030年W杯“北東アジア4カ国共同開催”は実現するか」と少々懐疑的な姿勢を見せた。

記事では「共同開催が実現する可能性は低くない」と前置きしつつ、「しかし越えなければならない山がたくさんある」と課題を提示。

日本サッカー協会の田嶋幸三会長の「日本は2050年までのW杯単独開催を目標にしている」とのコメントを紹介しながら、日本と中国が単独開催に乗り出していることを不安要素として挙げ、加えて北朝鮮が核開発などで国際社会から厳しい視線を受けていることが障害になりえると伝えた。

「中国が開催の最大変数」

また、SBS Sportsのスポーツ解説委員パク・ムンソン氏は「大統領のW杯共同開催案、カギは中国だ」とタイトルをつけたコラムで独自の理論を展開した。

コラムでは提案の背景についてEUが共通言語といえるサッカーなどの文化交流を土台にして共同体をつくったことや2003〜2007年に日中韓で開催したA3チャンピオンシップの前例、W杯参加国の拡大をFIFAが決定したことなどを列挙しながら、「単独開催への強い意志と環境的土台を備えており、そればかりかFIFAから有形無形の支援を受けている中国こそ4カ国開催の最大変数だ」と分析。

どこよりも緊張状態にある北東アジアでW杯を開催することで人類の幸福に寄与できる点を強調していかなければならないと提言した。

「北に金を与えたいんだな」

文大統領の提案をメディアは様々な視点から取り上げているが、韓国サッカーファンの反応も興味深い。

批判的な反応が多々見受けられるのだ。

ネット上には「今回こそは私たちが単独開催しなきゃダメだろ」「あいつらと共同開催するのかよ」「中国に頭を下げて北朝鮮に肩入れして…」「どうしても北に金を与えたいんだな」といった具合だ。

サッカーファンからの風当たりや日中の単独開催志向など課題は山積しているが、いずれにせよ、“日中南北W杯”共同開催プランはすでに提示された。

FIFAインファンティノ会長は中国の習近平国家主席にも意見を聞くと話しているが、今後このプランがどのような展開を見せるのか注目だ。

(参考記事:日中南北でのW杯共同開催!? 韓国サッカー協会チョン・モンギュ会長はなぜ“仰天プラン”をぶちまけたのか

(文=李 仁守)