侵略的外来種として知られるミノカサゴ。キューバ・ハバナで(2016年5月2日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】島や人口が密集する沿岸部は、世界的に見て侵略的外来種の「ホットスポット」となっており、地域の生態系に大きな影響を与えている他、在来種の動植物を絶滅に向かわせる恐れもある。研究論文が12日、発表された。

 世界的規模で初めて実施された外来動植物の生息調査では、米ハワイ(Hawaii)州やニュージーランドの北島(North Island)、インドネシアの小スンダ列島(Lesser Sunda Islands)などにおいて、外来生物の生息密度が最も高いことが分かった。

 大陸沿岸部では、フロリダ(Florida)州で最もその密度が高く、また米カリフォルニア(California)州やオーストラリア北部沿岸部でも同様に高いことが明らかになっている。

 米科学誌「ネイチャー・エコロジー・アンド・エボリューション(Nature Ecology and Evolution)」に掲載された論文の主執筆者で、英ダラム大学(Durham University)の生物学者ウェイン・ドーソン(Wayne Dawson)氏は、AFPの取材に対し、今回作成された外来種の分布図は、これらの生物がどのようにして各地にたどり着いたかを明確に示しているとしながら、「人口密度が高く、比較的裕福な地域には、より多くの外来種が根を下ろしていることを確認した」と説明した。

 侵略的外来種の存在は、世界的な野生生物の減少の主な理由の一つだが、これ以外にも、生息地の減少や狩猟、公害、気候変動などもその理由として挙げることができる。

 孤立した環境で進化を遂げた在来生物種は、新たに入り込んでくる捕食者や病原体に対して無力である場合が多い。

 例えば米領グアム(Guam)の森林が不気味なほど静かなのは、過去半世紀の間に島原産の野鳥やその卵の多くが外来種のヘビ「ミナミオオガシラ(学名:Boiga irregularis)」に食べつくされてしまったことがその背景にある。

■生態系の変化

 害の有無に関係なく、外来種の多くは人を介して新たな土地にもたらされてきた。

 よく見られるのは、貨物に紛れて各地に移動するケースだ。刺されると危険なオオスズメバチは、数十年前に中国から欧州に陶磁器を輸送していた貨物船によってもたらされたと考えられている。

 船体の水平を保つために必要な貨物船のバラスト水も、主要な原因の一つ。巨大なタンク内の水は各地で出し入れされるが、この中には細菌やウイルスを含む数千種類の生物種が含まれており、知らず知らずのうちに日々世界中に運ばれている。

 この侵略的外来種を取り巻く状況についてドーソン氏は、「議論の余地はあるかもしれないが、われわれは新たな『パンゲア』を創造しつつある」と指摘する。パンゲアは、約3億3500万年前に存在していた超大陸で、現在地球上にある大陸の大半はこの大きな超大陸の一部だった。

 同氏はまた、「こうした仮想大陸がもたらす結末は深刻だ。世界中からもたらされた種が混在する新たな環境の創造によって生態系に変化が生じ、一部の種は絶滅するだろう」と警鐘を鳴らす。

■経済的な影響

 昨年発表された研究論文によると、侵略的外来種の昆虫がもたらす被害は毎年少なくとも770億ドル(8兆4800億円)上るとされている。しかし、この数字については、低く見積もり過ぎとの指摘がある。

 今回の研究で、ドーソン氏と研究者ら24人の国際研究チームは、世界186の島と400の地域を対象に、外来種に関するデータを調べた。

 農業や環境に関する英国の非営利団体「Centre for Agriculture and Biosciences International(CABI)」は、8000種類以上の侵略的外来種を確認しているが、実際にはもっと多く存在しているとドーソン氏は指摘する。
【翻訳編集】AFPBB News