厚さ原子1個分で強磁性な2D素材を発見。超高密度記憶装置への応用も

 

2004年に発見されたグラフェンは、厚さが原子ひとつぶんしかない構造を持つ最も薄い材料として知られています。グラフェンの発見以降、科学者らは2D絶縁体や2D半導体、2D超伝導体を発見してきました。そして6月7日付けのNatureには、2D構造の磁性体の発見が報告されています。

マサチューセッツ工科大学のPablo Jarillo-Herreroとワシントン大学のXiaodong Xuが発見したその素材は、三ヨウ化クロム化合物で形成される極薄構造の磁性素材。その物理的特徴からこれまでは不可能だった磁気学実験が可能になったり、最終的には全く新しい情報記憶装置の設計に活用できると考えられます。

三ヨウ化クロムはもともと強磁性体として知られており、Jarillo-HerreroとXuはその原子配列と電子スピン特性から、単一原子層構造になるまで薄くしても磁性を維持するだろうと考えました。そして、グラフェンの発見でも使われた "スコッチテープ法" によって何種類かの厚さの三ヨウ化クロムを取り出し、そのうち厚み方向が単一原子層や3原子層の状態で強磁性を保持していることを発見したとのこと。また、4層になった場合も磁性は保持しているものの、まだ調査中の別の特性が加わっているとしています。

原子1つ分の厚さしかない2D素材は積層してもほとんど厚みが増えないため、現在のコンピューターチップを劇的に小型化できる可能性があります。またすでに発見されてきた素材に加えて2D磁性体の存在が確認されたことで、コンピューターの主要な要素をすべて2D素材で構成できる可能性が高まりました。

ただ、この研究では、2D材料が強磁性を発揮するには温度がマイナス228度で保たれなければならないとのこと。また将来的に実用化するには、酸化防止措置の必要がない素材をみつける必要があるとのこと。研究者らは、現在は三ヨウ化クロムと同じ化学族の材料を対象として、同様に2D磁性体となりうるものを探しています。