餌を待つクロエリヒタキのひな。台湾・台北で(2016年6月15日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】ひな鳥はその種に特有の鳴き声をどのようにして学習するのだろうか。親鳥たちからその小さな脳に叩き込まれるのか、それともふ化する前から体に組み込まれているのか──。

 少なくとも一部の鳴き鳥については、種特有の鳴き声が遺伝子に組み込まれているという興味深い証拠を提示した研究論文が12日、発表された。

 今回の研究では、スズメ目ヒタキ科の鳥の卵を巣から取り、別種の「里親」鳥の巣に移したところ、そこでふ化して育てられたひな鳥が生涯にわたって、遺伝的に同種の鳥に特徴的な鳴き声を好む傾向を一貫して示すことが確認できた。

 となれば答えは一つだ。鳴き声を区別する能力は生まれつきのもので、習得するものではない──。論文の共同執筆者で、スウェーデン・ウプサラ大学(Uppsala University)のダビド・ウィートクロフト(David Wheatcroft)氏はそのように指摘し、「鳴き声の識別は、遺伝的に受け継がれる因子に依存する」とAFPの取材に語った。

 科学者らにとって鳥の鳴き声は、音声学習を後押しする行動的、神経的、遺伝的な各メカニズムを研究するためのモデルとなる。音声学習とは、人や動物が言葉を吸収して再生する能力だ。

 鳴き鳥は幼鳥の頃から、自分と同じ種の鳥の鳴き声と別種の鳴き声を聞き分けることができる。研究者らは長い間、この能力が先天的か後天的かを明らかにする試みを続けてきた。いわゆる「氏か育ちか」の論争だ。

 ウィートクロフト氏とアンナ・クワンシュトルム(Anna Qvarnstrom)氏の研究チームは今回、ヒタキ科の異なる2種、マダラヒタキとシロエリヒタキの巣の卵を交換してその後の様子を調べた。

 ふ化12日後まで他の鳥の鳴き声を全く聞かせなかったひな鳥に、自らと同じ生物学的種の鳥の鳴き声と、育てた里親の鳴き声とを録音した音声を再生して聞かせた。すると、ひな鳥は自らと同種の鳴き声により大きな反応を示すことを研究チームは確認した。

 研究では、ひな鳥が餌をねだるためにどの程度さえずるか、巣の入り口をどのくらいの頻度で見上げるか、どの程度動き回るかなど、鳴き声への反応を測定した。

 この結果を受けてウィートクロフト氏は「ひな鳥は、鳴き声の違いを聞き分ける。他種の親にすべて育てられた場合であってもだ」と結論づけ、「これは、鳴き声の識別が幼年期の経験や学習には依存しないことを示している」と説明した。

 他方で研究チームは、ひな鳥が成鳥になった後、どちらのさえずりを奏でるようになるかも観察。「ひな鳥はほぼ例外なく、自らの種の鳴き声でさえずり」里親の鳴き方を拒絶したと、ウィートクロフト氏は説明した。

「鳴き声の識別が生物種間の遺伝的な差異に依存することを実証したのは、今回の研究が初めてだ」と研究チームは主張する。

 進化の観点からみると、音声学習能力は鳥が自分と同じ種の仲間を識別して、別種との交尾を避ける助けになる可能性が高い。ヒタキの雑種は不妊個体になる。
【翻訳編集】AFPBB News