英国総選挙で与党保守党は惨敗を喫したが、英国社会はむしろ分断から歩み寄りに向かう Photo:AP/AFLO

写真拡大

 英国総選挙が実施され、与党・保守党が改選前の330議席から12議席減らした318議席となり、過半数(326議席)に届かない敗北を喫した。一方、最大野党・労働党は33議席増の262議席に伸ばした。いずれの政党も過半数に達しない「ハングパーラメント(宙づり議会)」となるなか、テリーザ・メイ首相率いる保守党は、10議席を持つ北アイルランドの民族政党・民主統一党(DUP)と、重要法案などで連携する閣外協力することで大筋合意し、合計328議席で過半数を確保した。

 当初、保守党が圧勝すると予想されていたが、保守党がマニフェストで社会保障の負担増などを打ち出したことが不評となり、若者票を掘り起こした労働党が攻勢に転じた。総選挙で圧勝し、強力な指導力でEU離脱交渉に臨もうとしたメイ首相の思惑は裏目に出てしまった。

 DUPとの連携でメイ首相の続投が可能になったが、政権基盤の不安定さは続くことになる。6月19日に開始予定のEU離脱交渉の先行きは不透明となり、2年間の交渉期限の間にEUとなにも合意できないまま「なし崩し離脱(通称クリフエッジ=cliff-edge)」となる事態が懸念され始めている。さらに、英国社会の深刻な「分断」が進んだという見方も広がっている。

 しかし、本稿は総選挙を経て、英国社会は「分断」から次第に「歩み寄り」に向かうと考える。EU離脱交渉の行方が楽観できない状況にあることには同意するが、移民制限を優先し、EUの単一市場や関税同盟から脱退する「ハード・ブレグジット(強硬なEU離脱)」に向かっていた英国が、「オープン・ブレグジット(穏健なEU離脱)」に姿勢を変化させて、EUとの交渉が進み始める可能性があると考える。

続きはこちら(ダイヤモンド・オンラインへの会員登録が必要な場合があります)