SNSに複数の肩書を連ねる女たちがいる。

サロネーゼ / ライフスタイルプロデューサー / パーソナルスタイリスト / PR...。

会社には属さず、自らの力で生きる“フリーランス”の道を選んだ女たち。

彼女たちは本当のところ、どんな仕事をして、どれほどの収入を得て、どのような生活を送っているのだろうか。

一見、好きなことしかしていないような彼女たちの、その実態に迫ってみよう。




<今週のフリーランスの女性>

名前:樹里(28歳)
前職種:損害保険会社勤務
現職:ヨガ講師
年商:約400万
年収:約330万
住居:学芸大学
結婚:未婚



損保OLからヨガ講師に転身。夢を叶えたはずなのに


爽やかな笑顔にメリハリのある身体。タイトなヨガウェアからは、無駄な贅肉など一切見当たらない。

長い髪をハラリと解きながら、樹里さんが時折見せるナチュラルな笑顔はまさに“ヨガ講師”のイメージそのもの。

なぜかヨガ講師は、皆似ている。(実際には個性はあると思うが、ヨガに詳しくない人からすると、皆似ているように見えるのは気のせいだろうか。)

細身の体型にストレートヘア。好きな食事は“サラダです”と答える。

「そんなステレオタイプな人ばかりではないですよ(笑)一口にヨガ講師と言っても千差万別。それに売れている人と売れていない人では雲泥の差がありますし。」

近年のヨガブームで、異常なまでに増えた“ヨガ講師”という肩書きを持つ女。

資格は持っていても実際に教えていない人も多いが、現役講師たちは限られた教室数の中で皆、しのぎを削っている。

そのため、都内を歩けばヨガ教室は至る所で見つけられるが、ヨガ一本で生きていくのは至難の技だという。

「ヨガ講師だけで生きていける人は、ほんの一握り。皆自分では食べて行けないから、結婚して余裕がある人か、もしくは同棲して彼に家賃を払ってもらっている人ばかりですよ。」

爽やかなイメージしかないヨガ講師だが、実態はかなり泥臭い世界のようだ。


聞きたくなかった、爽やかな笑顔の裏側にある熾烈な争い


SNSで人気が高いほどギャラも高くなる、分かりやすい世界

<5月の支出内訳>

樹里さんの場合固定ファンも多く、ほぼ毎日2レッスン、 都内にある複数のヨガスタジオで教えている。しかし、1レッスンのギャラは約4,000円だ。

レッスンの合間にはヨガスタジオで受付の仕事を手伝い、毎月のトータルは30万前後になる。

「新人さんや無名の講師では、1時間2,500円の人もいます。教える場所、相手によって勿論値段は変わりますが、よほど有名にならない限り、スタジオ1レッスンは5,000円が限界です。」

樹里さんの場合、家賃と光熱費は一緒に暮らしている彼が払ってくれるため、実質かからない。

ただしスタジオに行くまでの交通費は実費負担が多く、勿論ヨガウェアも自前だ。

「見られる仕事でもあるのでウェアにはこだわっていますが、毎日同じ物を着る訳にもいかない。スポンサーが付かない限り、ウェア代はかさむばかり。」

しかし、ヨガウェアを企業から無料で貰える上、高額なレッスン料を取れる人もいる。

SNSで人気がある、 “アイドル講師”たちだ。


実力よりもインスタのフォロワー数が物を言う世界


彼女たちはヨガイベントが開催される際にゲスト講師として呼ばれることで、益々知名度が上がり、更に人気になり、レッスン料も高額になっていく。

その一方で、無名の人は埋もれていき、生徒が集まらない。

「実力ではなく、いかに自分を上手に売り込めるか。SNSで“ナチュラル・オーガニック系”の写真を撮れるか。運とセルフプロデュース力次第で貰える金額は大きく変わりますね。」

近年の流行りは、少し日焼けした肌に健康的な身体。メイクは薄めのナチュラル系だという。

大きな場所でイベントを開催できるかどうかは、知名度次第だ。

「Instagramのフォロワーが多い人ほど優遇され、イベントに出られる。またウェアのアンバサダーになれたりと良いことづくし。その一方で、フォロワー数がないと、どんなに良いレッスンをしていてもお声はかからない。」

モデルやタレントがヨガ講師を名乗りだし、少ないパイは奪われるばかりだと樹里さんは嘆く。


辞めなきゃよかった大企業?!好きなことを仕事にした大誤算


損保会社勤務:年収420万(22歳〜26歳)


現在奮闘中の樹里さんだが、元々は損保会社で普通のOLをしていた。新卒から入り、計4年働いた。

「大企業、一生安泰、幸せな結婚。それが人生における正解だと思っていました。」

明治大学卒業後、そのまま何の疑いもなく入った大企業。仕事は楽しく、人間関係にも恵まれたが、次第に自分の限界値が見えてくる。

「10年後の姿が安易に想像できたんです。何も変わらない自分がいて、単調な日々を送っているだけ。短い人生、もっと挑戦してもいいのかな、と。」

そして26歳の時に、同期の一人が会社を辞めて独立する話を聞き、樹里さんは焦りを募らせた。

“一度きりの人生、挑戦した者勝ちだ”という気持ちを抑えきれなくなり、思い切って会社を辞める決意をする。

「自分の好きなことを仕事にして生きていきたい、と強く思ったんです。毎日同じルーティーンワークではなく、自分にしかできないことで挑戦しよう、と。」

OL時代の癒しは、ヨガだった。

会社帰りに週に4回通うほどヨガにはまっていた樹里さんは、自分の好きなヨガを仕事にしようと決意する。

そこから会社を辞め、貯金でスクールに通い、ヨガ講師の資格を取得した。

実はこの時、同じ会社で働いていた婚約者がいた樹里さん。しかしヨガ講師になり、生活が不安定になった時に彼の年収では良い生活は送れないことに気がつき、婚約者に見切りをつけた。

そして、通信系会社の2代目である今の彼に乗り換えたそうだ。




あんなに大好きなヨガだったのに...


「スタジオよりも、プライベートレッスンの方がはるかに割高。こちらは一人5,000円くらいを設定しており、数人教えるだけで十分なので。」

最近の樹里さんは、スタジオで教えながらも積極的にプライベートレッスンも行っている。どこかのスタジオを借りることがあれば、生徒さんが住むタワーマンションに併設されているスタジオを使うこともあるそう。

会社に縛られず、自分の力で生きたくて飛び込んだヨガの世界。

自分の好きなことを仕事にできるなんて夢のようだと思っていたが、今は考え方が変わったと言う。

「もしあの時、会社を辞めずにいたらどうなっていたのかと最近よく考えます...毎月安定したお給料に、年に2回のボーナス。自分一人でも生活できたし、もっと他に好きなことができたのかも。」

趣味で通っていた時は日課のように行っていたヨガも、ここ最近はレッスンがある時以外ではする気になれなくなった。

現状、今の彼がいないと生活していけない樹里さん。彼のことが嫌いになっても、別れられずにいるそうだ。

だがそれでも、アイドル講師になる夢も捨てきれず、今日もレッスンへと向かうのだった。

▶NEXT:6月20日 火曜更新予定
開催すればするほど赤字に...見栄が自分の首を絞めるサロネーゼの収支

【これまでのフリーランス女の収支】
Vol.1:年収1,300万。2度の転職を経て独立した女の、華麗な年収遍歴
Vol.2:元美容部員が掴んだ、貯蓄ゼロから“人気料理家”への道
Vol.3:1投稿15万円。1枚の写真で家賃代を稼ぐ、インスタグラマーの年収
Vol.4:彼女が女子アナという冠を捨て、1,800万を稼ぐ女社長になった理由
Vol.5:「サロネーゼなんかと一緒にしないで!」女性経営者の譲れぬプライド