速く、美しく巻け! 裏方の戦い「マイクケーブル8の字巻グランプリ2017」が熱い

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裏方がハレの舞台へ! 普段オモテには出てこない、音響スタッフやPAエンジニアさんたち。そんな“裏方”がケーブル巻きの速さ、美しさを競う大会、それが「マイクケーブル8の字巻グランプリ」です。

会場は幕張メッセで開催された「第4回ライブ・エンターテイメントEXPO」の一角。映像機器、LED照明など派手な演出ブースがひしめく中、薄暗い会場で地味ながらもアツイ競技が繰り広げられました。優勝者には賞金10万円が贈呈されます。

競技内容はいたってシンプルで、20mのマイクケーブルをひたすら巻くだけ。採点は「速さ・確実さ・美しさ・作業姿」を対象とします。審査員は大会主催者である「一般社団法人 日本音響家協会」の3名。音響のプロが厳しく審査します。

■なぜ「8の字巻」にする必要があるのか?

そもそも、「8の字巻」とはどういうものなのでしょうか? 通常、巻いた状態で販売されているケーブルは同じ方向に巻き続ける方法で、いわば「順巻き」です。ただこの巻き方だと、ほどいた時によじれたり絡まったりしてしまいます。

それを解消するための技が8の字巻。「順→逆→順→逆」のように、順巻きと逆巻きを交互に繰り返していきます。順巻きと逆巻きが反対方向のねじれを持つため、伸ばしたときにも互いに打ち消しあってまっすぐにほどけます。慣れるまで少し時間がかかりますが、ほどいた時にケーブルがよじれたり絡まったりしないため、音響スタッフにとっては必須の技なのです。

司会進行はホリプロコム所属のピン芸人・メロディーきみえさんと、日本音響家協会の奥山さん。この日はもちろんワイヤレスではなく、ケーブル付きのマイクを使用していました。

奥山さん「ふだん音響スタッフは見えないところで頑張っていますからね。たまには表に出てこないと」

メロディーきみえさん「こんな大勢の観客に見られながらケーブルを巻くって、なかなか無いですよね」

■巻く姿勢も審査の対象?

午前の予選会は、当日の飛び入り参加含め24名で争われました。予選は20mのケーブルを2本巻き、上位3名が午後の決勝に進むことができます。

奥山さん「例年、お客さんにお尻を向けて巻く人が多いのですが、それもマイナスポイントです。巻き終わったあとも“バーン”と投げるのではなく、丁寧に置くように」と細かい指示が。

歩きながら巻く人や、その場で立ち止まったまま巻く人など、意外とスタイルの違いが見えました。だいたい2本で1分15秒〜30秒くらいが多いようです。中には1分を切るタイムを出す人も。

メロディーきみえさん「輪っかの大きさも審査対象ですか?」

奥山さん「厳密な決まりはありませんが、小さすぎず大きすぎず、ある程度扱いやすいサイズにしてください。同じ大きさの円に揃っていると綺麗です」

巻き終わったケーブルを比べて見ると、円の大きさや揃い具合など、確かに違いが分かりますね。

予選出場者は、スタジオ音響、舞台音響、大学の放送部、照明さん、専門学校生、イベントの進行係などなど。富山や大阪から来た参加者もいました。中にはスーツ姿の男性も。お仕事はホテルの管理業務だそうです。本番では上着を脱いでチャレンジしていました。

■紅一点、飛び入り参加の女性が決勝へ

予選会に出場した24人の中から、上位3名が決勝に進出。唯一残った女性・大隅さんは日本工学院専門学校の教員アシスタントで、2年前にもこの大会に出場した経験があるとのこと。

「せっかくだし、出たらどう? と言われて飛び入り参加しました。まさか決勝に行けるとは思わなかったですね。生徒といっしょに練習したかいがありました」

残念ながら決勝に進めなかった方には、参加賞として静岡銘菓「8の字」が配られました。静岡では世代を超えて愛されている焼き菓子。この大会にピッタリの商品ですね。