(写真=文在寅大統領ホームページ)

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日本では性的マイノリティーに対する理解が進み、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)という言葉も定着しつつある。

そんな中、お隣・韓国では一人の大学生が綴ったあるメッセージが物議を醸している。

「ほかの人々のように愛し合いたかった」

メッセージは今年5月15日に高麗大学の掲示板に貼られた。

書き手は「16ムマルレンイ(切り干し大根)」。匿名での投稿だった。

「愛してやまない君へ」というタイトルが付けられた文章にはこのようなことが書かれていた。

「君と僕はお互いにとって初めてのボーイフレンドだ」

「彼らはわかるだろうか。隠す以外にない僕の気持ちを。あまりにかわいく苦しい僕の初めてのボーイフレンドを」

メッセージを書いた大学生が男性であり、自身もボーイフレンドも同性愛者であり、そして性的マイノリティーであることに思い悩んでいることがわかる。

彼はさらに続ける。

「僕は怖い。“愛してる”というと君がどこかに連れていかれちゃうんじゃないかと」

「君のせいでも僕のせいでもないことで、お互いに申し訳ない気持ちになっている。けれど、そう思わないでほしい」

「僕たちはほかの人々のように愛し合いたかった。それだけなんだ」

文大統領の問題発言

このメッセージはメディアでも取り上げられ、ネット上では「悲しいし腹立たしい」「涙が出るぐらい胸が痛い」などの書き込みが相次いだ。

特筆すべきは、近頃、彼のように自身の思いのたけを匿名で綴る性的マイノリティーの人々が急増していることだ。

きっかけとなったのは、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が大統領選挙期間中に言い放ったある発言だった。

4月25日、当時、大統領候補だった文氏は、TVの討論番組で同性愛について「反対だ」と断言したのだった。

文氏の発言は波紋を呼び、一人の弁護士が国会前で直接抗議をするなど社会的な問題となったが、オンライン・オフラインを問わず、掲示板への書き込みが増えたのもこの直後からだった。

翌日の26日には「私は存在を否定された。私は賛否の対象になった。愛されたかった」という書き込みがあった。

また4日後の30日には自身をレズビアンであると紹介する学生が心情を吐露している。

「世界は絶えず私たちを消し去ろうとする。でも、私たちはここにいる。私たちはこれまでもそうであったようにレインボーのダンスを踊ってみせる」

レインボーはLGBTの尊厳と社会運動の象徴であり、文章からは学生の文大統領に対する悲しみと憤りが伝わってくる。

「同性愛は一つの愛の形か」韓国の世論は?

文在寅大統領の支持率は6月12日現在78.9%と依然として高い水準だが、こういった性的マイノリティーの叫びが政権に影響を与える可能性も否定できない。

実際、こんなデータもある。

韓国ギャラップ調査研究所が5月30日から6月1日にかけて1004人を対象にした調査によれば、「同性愛は一つの愛の形か」という設問に対し、応答者の56%がYESと答えている。NOは35%で、無回答などは9%だった。

ちなみに日本では同性間の恋愛感情に対する肯定派は、男性の男性に対する恋愛感情57.3%、女性の女性に対する恋愛感情50.1%で(国立社会保障・人口問題研究所、2015年)、日韓の意識に大きな差はないようだ。

調査ではさらに、「同性愛者にも一般人と同一の就業機会を与えるべきか」との設問にYESと答えた人が90%にも上っている。

こういった国民意識が存在するうえで、自身の大統領選挙期間中の発言がきっかけで性的マイノリティーが苦悩している事実は、文政権にどのような影響を与えるだろうか。

いずれにせよ、「民主主義を発展させ、人権(尊重)を一層広げる」と語った文大統領にとって無視のできない状況にあることは間違いなさそうだ。

冒頭の大学生のような人々が悲しい思いをしなくてすむ社会が実現することを願うばかりである。

(参考記事:支持率トップの韓国大統領候補が「同性愛嫌い」宣言!そこには深い事情が!?

(文=李 仁守)