正直な子と嘘をつく子、日中の教育の違いから。2012年、上海市内の高校で授業を受ける生徒たち(PETER PARKS/AFP/Getty Images)

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 ベストセラー作家で外交・国際関係学の研究者、ジャーナリスト、中国のテレビ司会者と、マルチな才能で活躍する王ジョンさん。2004年にバラク・オバマ氏に初めてインタビューに成功した中国メディアの記者でもある。最近、王ジョンさんが自身のブログで、中国共産党政権が導く反道義的な教育がどのように子供に影響を与えたかについて、解き明かすエントリを公開した。下記はその抄訳。

本音と違うアンケート結果

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 「戦争で自国のために戦う意思があるかどうか」。数年前に行われた調査だ。日本人は11%、中国人は71%がそれぞれ「ある」と回答した。これは、中国人が日本人よりも愛国心が強いということか。それとも、中国人は日本人よりも上辺だけの答えを提出し、正直さに欠けるということを示しているか。

 調査結果の数字が、実際の若者たちの意識とは異なるのではないか、と疑わせる調査結果は他にもある。

 2010年4月8日、日本青少年研究所は、中国、日本、韓国、米国からの高校生を対象に「授業中に居眠りをしたことがあるか」との調査を行った。その結果、日本の高校生の45%が「ある」と回答し、4カ国で最も高かった。中国の高校生は4.7%に過ぎなかった。

 この結果によると、「中国の高校生はとても勉強熱心だ」との結論を引き出すのは容易だ。しかし、この結論は中国人が知っている事実からは程遠い。高校卒業した人ならすぐわかることだが、授業中に居眠りしている生徒が2,3人というような状況のほうが珍しい。

 この非常に低いと思われる回答の「不誠実さ」には2つの理由が考えられる。1つは精神的な側面。調査に参加した生徒の大半は、授業はちゃんと受けなければならない、という強迫観念がある。そのため、嘘をついた。

 中国の生徒たちは「正しい」回答を求められ、期待という言葉とともに親や教師に強い圧力を受ける。「先生の話を聞く」は正しい答えであり、「居眠り」は誤った回答だ。

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 中国の子供たちは、模範的な回答をする子供が好まれる傾向が高い。しかし、どうして日本の子供たちは正直に答えたのか? 家族の環境や教育方法に反映される社会的文化的価値が背景にある。

 南方週報は『嘘の作文』と題した記事で、中国のある小学校の生徒たちが最初に作文を習うとき、嘘を書くよう教えられると明かした。記事によると、担当教師Yを絶対的権威として持ち上げるように、生徒の作文の題材は「私の心の教師」で、その担当教師Yの言動は「孔子よりも素晴らしい」などと称賛する言葉を並べるよう、Yは生徒に指示していた。

 記事によると、その教師の同僚は「Yはそんなに大した人物ではない」とこき下ろした。生徒たちが書くことを強いられた作文の嘘は毎年、スケールが大きくなり、教師Yが退職する年まで、嘘は塗り重ねられていったという。

対照的な日本の教育と社会

 

 日本の両親は、子供たちの誠実さを育むことを重視している。3〜4歳の子供が誤って自宅の花瓶を壊した場合、罰するのではなく「割ってしまった」と真実を告白することを最良の行為とする。これで、お菓子などの褒美を与える場合もある。もし子供が他人のせいにすれば、ひどく叱られる。「嘘をついた」ことで、お小遣いを減らされるなどの罰則があるかもしれない。

 日本人の子供が「将来はパン屋になりたい」と言ったら、大人は彼らの声を聞いて頷く。中国の子供たちは、大人が子供の意見を批判することが多いため、しばしば壮大な願望を持つ。そう回答しないといけない風潮なのだ。時間の経過とともに、子供たちは「模範的な」回答を出すことは処世術となると、心に深く根づいてくる。

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2011年4月、宮城県石巻市の学校で小学生一人に授業が施される(YASUYOSHI CHIBA/AFP/Getty Images)

 2010年と2014年冬季オリンピックで金メダリストを獲得した、スピードスケートの中国代表・周洋選手は、メダル獲得のコメントで、他の中国選手のように、国に感謝を述べるといった模範的な回答をせず、両親を称えた。

 多くの中国人は彼女のコメントに感動したが、中国体育当局の圧力で、周洋選手は後でコメント内容を変更するよう強いられた。

 真実を伝えることは不運をもたらし、嘘を吐くことが生き残る術と考えられている。中国の現在の社会環境はとても悪い。

 日本では、誠実さを重要視する教育が、人生のなかで一貫して行われる。家で、両親は子供たちに嘘をつかない。学校では、子供たちも正直さを学ぶ。仕事では、誠実さはほぼ普遍的なビジネスの哲学と見なされている。

 かつて私は中日の教育交流セミナーに参加した。司会者が、日中の専門家に自国の教育制度の欠点を列挙するよう頼んだ。中国代表は、どのようなものを持ち出すかについて話し合った。キャンパスでの暴力や、教師の尊敬の欠如など…しかし、国際交流の場で中国の面子を保たなければならないため、アイデアは拒否された。正直に意見を言うことが許されないのだ。

 嘘は数千回繰り返されても、真実にならない。嘘は、最小限にしたほうがいい。

(翻訳編集・佐渡道世)